Re:Re:Re:【緊急事態】共和国強襲作戦
共和国の辺境諸宙域をロストフ連邦が制圧にほぼ成功した頃、共和国のサカイ中将とカン中将が2個艦隊34000隻を率いて接近した。しかしロストフ連邦14個艦隊とは正面からは戦うことはさすがに意味がないと考えたため、辺境からは近いペルセポネ宙域に布陣した。
ペルセポネ宙域の居住可能惑星は質量の大きい、いわゆるスーパーアースで大気や酸素濃度なども最初から申し分なく、その広い表面積を生かして軍港が充実していた。かつて帝国との戦争における拠点となっていたこともある。
こういう事態でなければ巨大な山脈を利用した広大な国立公園などもあるのだが、いまはそうした施設は補給物資などが集積されていた。
サカイ中将とカン中将は統合幕僚長のブライト大将から直接指令を受けていたため、宇宙艦隊とは関係なく動いていたが、宇宙艦隊司令長官のノートン大将が4個艦隊をまとめて動き出したという情報が入ってきた。
しかしノートン大将は4個艦隊を動かしつつもペルセポネ宙域のやや後方に艦隊を配置しているらしくそれ以上動く気配はなかった。
ロストフ連邦は共和国艦隊が接近して以来、戦線を拡大させるのはやめ、現在制圧している宙域に艦隊を集中しはじめたようだった。
長い睨み合いの始まりと思われた。
そんな折、ヴォストーク元帥が4個艦隊を率いて動き出した。
まっすぐにペルセポネ宙域に向かっているという報告があったため、サカイ中将とカン中将も動き出した。
2個艦隊は34000隻を並列させ進み、ヴォストーク元帥の艦隊と正面から遭遇した。
ロストフ連邦は4個艦隊44000隻。数の上からは不利だが、大統領オスカルのためにも、革命的反戦軍が勢力を伸ばすためにも、共和国艦隊はブライト・リンの指揮下で成果を見せる必要があった。
ヴォストーク艦隊は密度の高い陣形を組んでいた。
ちょうどペルセポネ宙域とポセイドン宙域の中間地点で両艦隊は正面衝突した。
「正面から決戦じゃい! 撃て!」
ヴォストーク元帥は艦隊をひたすら突進させた。
「相手の方が数は多いがこちらのスタッフは歴戦だ! 撃ちまくれ!」
カン艦隊とサカイ艦隊は両方とも同時にヴォストーク元帥の艦隊とぶつかった。
お互いに左右に機動することなく正面から撃ち、そのまま距離が詰まる。
双方被害を出しつつも前衛と前衛が混じりあったがそれでも砲戦は続いた。
まさに死戦だった。
数はヴォストーク艦隊のほうが多かったがカン艦隊とサカイ艦隊のスタッフは優秀だった。ひたすら効率のよい砲撃を叩き込み、被害はヴォストーク艦隊のほうが僅かに大きかった。
カン艦隊とサカイ艦隊は深くヴォストーク艦隊に混ざり込み、お互いに至近距離での追う激戦を展開する形となった。
大口径の質量弾が戦艦を掠め、旗艦の周辺の艦艇にも敵弾が直撃し爆発四散するものがでてきた。
四周はを光線と質量弾が飛び交い、破壊に満ち満ちていた。
その光景と状況にカン中将は怖気付いた。
もともと艦隊勤務は初で、革命的反戦軍のシンパであるがゆえに抜擢された、戦争がない前提での人事だった。
いくらAIなどの発達でかなりの業務が自動的に行われるとしても最終的に判断するのは指揮官である人間だった。
「こ、後退だ! 遠距離で慎重に砲撃戦を行おう!」
カン中将の艦隊はこの号令で無理やり下がり始めた。
後退する艦、方向転換しようとする艦で陣形が乱れた。ヴォストーク元帥は「しめた!」とばかりにカン艦隊を狙い撃ちにした。
戦艦や重巡洋艦にも被害が続出した。
「カン君! 何をしているんだ!」
サカイ中将があわてて重力子通信を開こうとするが乱戦でさすがに通信がすぐには確立しない。短艇を飛ばして連絡将校に叱咤させようとするが、その間にもカン艦隊は勝手に下がっていた。
前線に残ったサカイ中将の艦隊に今度は攻撃が集中した。
純粋に相手のほうが艦艇数が多いために結果あらゆる方向から撃たれることになった。
砲戦の腕では共和国軍のほうが上だったが、状況は明らかにロストフ連邦のほうが有利だった。
「防戦だ!」
サカイ中将は戦艦や重巡洋艦などの装甲の厚い艦艇を前に出したが間に合わず、とにかくカン艦隊が再編し戻ってくるのを期待して時間稼ぎのために、哨戒艦やステルス艦まで前線に駆り出した。
一方、カン艦隊は下がりきれずに後尾を捕まえられ、むしろ損害が増大していた。
その過程でカン艦隊の旗艦付近に連続的に砲撃が叩き込まれ、旗艦に小口径ながら質量弾が直撃した。旗艦は機関部をもぎ取られ、さらに別の艦艇の破片が艦橋付近にめりこんだ。
「はははは、こりゃあ勝ったな!」
ヴォストーク元帥がニンマリと笑みを浮かべた。
「元帥!」オペレーターが叫ぶ。
「なんじゃい!」
「新たな重力反応! かなり巨大です。少なくとも2個艦隊以上、共和国軍です!」
「むっ……」
「た、助かった……?」
サカイは冷や汗を垂れ流しながらメインモニタを見つめていた。
そこにはノートン元帥の率いる2個艦隊の増援が映し出されていた。
「やむをえん! 目の前の敵に残りの質量弾を叩き込んで我々も後退!」
ヴォストーク元帥があわてて号令をくだす。
ロストフ連邦の艦隊は残された質量弾をありったけ放った。
カン艦隊とサカイ艦隊にさらに被害が出る。
しかしノートン元帥の増援が射程距離に入る前にヴォストーク艦隊は見事な機動で逃げ去っていったのだった。





