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【重要】課長が目覚めたら異世界SF艦隊の提督になってた件です  作者: Edu
おっさんがライバル企業を設立する件です
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Re:Re:Re:【第二週】旧海賊惑星ランバリヨンでの新オフィス

 惑星エールは開拓宙域の中でもかなり改造や建築が進んでおり、交通の要衝なだけに宇宙港、惑星軌道上での補給やメンテナンスなどのサービス拠点、物流のための倉庫群など充実していた。

 

 そして船員などの需要を当て込みホテルなども進出し、ヴァイツェンとは比較にならないほど多数のホテルが立ち並ぶ区画もあった。


 ゆったりと地上を走る車のための広々とした道路や、短艇などが降りることのできるプライベートポートなどもあり、空気清浄化機能を強化された街路樹が並んでいた。


 これらの街路樹は特殊な被膜に覆われ、一時的に酸素濃度が減ったり多量の紫外線を浴びても大丈夫なように設計されている。


 共和国系の近代的なロン・ホテルなどのある一画に帝国資本の「ホテル・シャンパーニュ」は存在した。地球でいうところのコロニアル風の装飾がなされ、大理石風の造りは見事だった。


 涼井たちは武装商船ドーントレーダーの短艇でホテル・シャンパーニュのプライベートポートに降り立った。


「このホテルの様相はまるで故郷を思い出すわ」

 とヘルメス・トレーディングの敏腕広報(・・・・)である彼女が言う。黒髪をさっぱりと整え、スーツを着こなしているがどこか威厳がある。彼女の若干苦みの入ったその口調に涼井はふと方眉の角度をあげた。


 涼井はロッテーシャと護衛の陸戦隊、敏腕広報とホテル・シャンパーニュのバンケットルームに入った。


 バンケットルームにはホテル・シャンパーニュの手配ですでに机や軽食の類が運び込まれていた。


 そこには海賊のメスデン、アイラ、ローランと何人かの顔を知らない海賊の頭目たち、傭兵艦隊マトラーリャの常務取締役ルテニア、商業ギルド同盟の通商官が数名、すでに着席して思い思いに時間をつぶしていた。


「遅れて申し訳ありません」

 涼井が頭を下げながら小走りに席に着く。


「いやいや……」

 マトラーリャのルテニアは、顔に傷の跡のある寡黙そうな中年男性だった。

 彼がすっと片手をあげて涼井の謝意に応える。


「我々としては今回の任務を発注いただいたのもありますしな」ルテニアが続ける。


「それはそうと、しかしまさか海賊と組むことになるとは……」商業ギルド同盟の通商官も口を開いた。


「海賊ではありません。開拓宙域の秩序を守り、銀河商事と戦っていた自由民ですよ」涼井が言う。

「その側面があることは我々も承知しているが……ただの悪漢なども混じってるだろう」

「そういう言い方は聞き捨てならねぇですな」海賊のメスデンがじろりとにらむ。

「何だと……!」


「いずれにしても、各位のご尽力で銀河商事の船団を撃退できました。ありがとうございます」

 涼井が立ち上がって改めて頭をさげる。その敬意あふれる仕草に出席者たちは静かになった。


「まず最初の議題ですが……」


 涼井は今回の会戦では、いつもの戦闘が始まる段階ではだいたい勝負がついているという状態に持っていくにあたり、開拓宙域で勝てる条件を考えていた。

 

 開拓宙域で長期間活動してきた傭兵艦隊ヤドヴィガにはやはり地の利はある。

 しかし一方で、あくまで軍事力ではなく軍事力を提供する会社であって、一般の正規軍が持っているような完全な自己完結性はない。


 ある程度の戦闘能力はあっても、例えば帝国や共和国、ロストフ連邦のように補給船を伴って長期間・長距離にわたって母港から離れて活動するような能力はなかった。


 そして銀河商事のトムソンの起こした事件。

 まずバルバドス海賊団を屠っただけではなく、輸送船団の壊滅もバルバドス海賊団のせいにしたことが海賊たちの怒りに火をつけた。


 さらに、あの輸送船団の物資は偽装ではなく本物であったがゆえに、その輸送を待っていた顧客の中に商業ギルド同盟が存在した。

 海賊たちや、深部の調査をしていたロブ中佐がそのことを明らかにし、結果として商業ギルド同盟へのアプローチに成功した。


 ただし国境を越えて大規模な部隊を開拓宙域に入れるのは難しい。

 ある程度自由に入り込めるのは、国籍をもたずに活動する同じような傭兵艦隊くらいだ。


 そこで業界第二位の傭兵艦隊マトラーリャを雇うことにしたのだった。


 会戦自体は成功だった。

 しかし急造の体制だったために若干のノイズが生じているのを涼井は感じていた。

 特に商業同盟は開拓宙域をもっと統制したい意向があるし、銀河商事の暴挙は許せない部分もあるが、銀河商事とヘルメス・トレーディングとどっちが勝つのか天秤に掛け始めている気配が濃厚だった。


 海賊たちは単純に復讐目的だったのもあるが、雑多な集まりなので、涼井の先ほどのオジギの効果も薄くなってきていた。またそれぞれが勝手な言い分を勝手にしゃべりはじめている。


「話を聞きなさい」

 その声は静かだったが圧倒的な威厳がこもっていた。

 そして、その場にいた海賊や商業ギルド同盟の通商官が思わず背筋を伸ばす何かを持っていた。


 声を発したヘルメス・トレーディングの敏腕広報が立ち上がり、腕組みをしてそれぞれの顔を見回した。


「ぶっ無礼だぞ!」通商官の1人が顔を真っ赤にした。

 彼女は黙って彼の顔を見つめた。

 通称官の顔色は怒りでどす黒くなったが、ふと、敏腕広報の顔をまじまじと見つめ、そして顔色が一気に青ざめて行った。


「まっまっまさか……帝国の……皇……」

「そこまでにしましょう」

 涼井が割って入った。

 彼は眼鏡の位置をくぃっと直して微笑を浮かべた。


「見ての通り弊社は複雑(・・)でしてね。潤沢な資金力だけではなく、開拓宙域に長年貢献してきたペルセウスウ・トレーディング社を買い取っているだけではなく、このように非常に優秀で名前の知られた広報係(・・・)が在籍しています。そういうことです。今後もご協力いただけるのでしょう?」

「わ、わかった我々は協力する」

 かしこまる商業ギルド同盟の通商官たちの様子をみて海賊たちがどっと騒ぐ。


「すげぇな姐さん! アイラとローラン以上だぜ! 気に入った!」メスデンが哄笑する。


「我々ももちろん料金と、適切な物資の提供か資金提供をいただける限りは契約に基づいて行動しますが……」マトラーリャのルテニアがにっと笑う。「ただ単なる契約関係というにはもったいないかもしれませんな」


 涼井もそれにあわせてもう一度微笑を浮かべた。

 そして満足そうに座った銀河帝国皇帝リリザの横顔を見る。

 場を一気に動かすカリスマ性。それは涼井の想像よりも凄まじいもののようだった。

 

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