スキル
翌朝、城の食堂に集まり朝食を取る。城からは、内務省長官のリシュリューが同席している。
リシュリュー「今日から騎士団、魔術団で訓練となりますが、コウイチ様、イチロー様、ダイチ様、ナオミ様は騎士団で、舞様、サヤ様は魔術団で訓練ということでよろしいですか?」
「魔法剣士の俺はどうすればいいかな?」
と独白気味に言うと、かぶせるように横から舞が、
「そもそも、職業によって魔法や剣術などの適性は決まっているんじゃないの?」と疑問を呈する。
リシュリューが答えようとした時に、
ハルの念話が響く。
『私から答えちゃおう!
職業によって魔法や剣術など適性は限定されるものではないのである。職業によって取得できるのは初級スキルだよ。職業が戦士であれば「戦士」のスキルを自動的に取得し、それなりに戦えるけど、上級スキルである「上級戦士」などそれ以上のスキルを取得するたためには、適性や努力が必要。適性については、ニッポンでの経験や個性、スキルとの相性などによって、トータル的に決まるよ。
あ、そうそう勇者が他の人達と違うことの一つは、魔法や武術などのスキルの取得が限界がない事だよ。頑張ろー!』
ハル唐突に来たな。
日本語がましになったのが救いか。
リシュリュー「ハルの言うとおりで、適性は必ずしも職業に限定されるものではありません。
ですが、まずは職業による恩恵が受けられるスキルを訓練してみるのはどうでしょう。先の訓練先の提案は職業を考えた上でのものです。」
「それならいいんじゃないか?みんなどう思う?」
「賛成!」
全員から賛同を得る。
「それは良かった。しかし、スキル取得に限界がないというのは、羨ましいものです。私なんぞ『行政』『経理』など地味なスキルだけで、スキルリミットになってしまいましたから。」リシュリューが自嘲気味に呟く。
リシュリューの説明によると、スキルの取得数の限界、「スキルリミット」は、一般的は7から10個程度らしい。また、昨日魔術団の人にかけてもらった【洗浄】などを含む「生活魔法」など、最低限日々の生活に必要なスキルもあるため、選んで使えるスキルはより少ないらしい。
その点俺たちには限界がないのか、凄いことだが、一歩間違えると器用貧乏になりそうだ。気を付けよう。