お酒はほどほどに。
チュンチュン。
日差し眩しい・・・もう朝か。目を開けたくない。
ってか、小鳥のさえずりさえ、うるさく思えるほど頭が痛い。何コレ病気?
とりあえず、起き・・・・れない?
え?何で??
何かにホールドされてる感じがする??
恐る恐る目を開く。
「おはよう」
目の前に、とてつもなく綺麗な顔。うっすらと微笑んでいる。朝からイケメン、ご馳走さまです。って、違う!
「何で僕の寝床にお前がいるんだよ!」
「ここ、俺の寝床だ」
「え?」
周りを見渡す。綺麗なままの僕の寝床が向こうにある。
「昨日のことは、忘れたのか?」
魔王が、僕の顔を覗きこんでくる。
昨日・・・。
お酒を飲んで、あまりの美味しさにおかわりして・・・
ふわふわした気分になって、魔王に近づいて・・・
めっちゃからんで、そして・・・
からんだまま、寝てしまった。
「本当に、すいませんでした」
恥ずかしさやら何やらで、頭がぐわんぐわんする。
「頭痛い。何コレ。そしていつまで僕を抱きしめてるんだ!離せ!!」
「多分二日酔いだな。朝は少し冷えるしな、ローザは暖かいし、良い匂いがする」
ひぃぃぃぃぃ。
「はーなーれーろー!!魔王!」
魔王を引きはなそうとすると、逆に魔王の腕に力がこもった。
「魔王ではなくリヒトと呼べ」
「え?リヒトって・・・それでいいのか?あんな酔っぱらいの思いつきで。名前、あったんじゃないのか?」
「俺の名前はリヒトだ」
「リヒトでいいのか。ん?『俺』?自分のこと、我って言ってなかった?」
「『我』と言った方が威厳があると思ったから使ってただけだ。もう面倒臭い」
「面倒臭いとかってあ《ぐぎゅるるるるるるる!!》
「ローゼの腹の虫は朝から元気だな」
「う!うるさい!!!」
盛大なお腹の虫が鳴ったところで、リヒトは僕を解放して、朝食を用意してくれた。
うん。あのモコモコの魔物の口から、サンドイッチが出てきた・・・・。
僕も一応食料は持っているけど、固いパンと干した肉だから、正直、リヒトの用意してくれるご飯はありがたい。
ありがたいが・・・慣れない。と言うか、どういう構造になってるのか気になる。
「なぁ、その魔物の口ってどうなってるんだ?」
「ん?あぁ。おもちの事か?」
ネーミングセンス!
確かに、白くて丸くてお餅みたいみたいたけども!
「凄い便利だぞ。何でも入るし、保温も冷蔵も冷凍も可能だ!構想はわからん」
「何でも・・・人も入れるのか?」
ふと、何気なく発した一言。
「人か?人も入れると思うが、入らない方が身のためだぞ?」
「え?」
「たまに聞くだろ。行方不明者の話・・・」
「え?えっ?!」
「行方不明が出た現場に行くと、大概この魔物が側に・・・」
「え?!いるの?側にいるの??」
ふいっと目をそらすリヒト。
ちょ!気になるところをぼかすな!
「さて、出発前するか」
「ちょ!!気になるところで話を終わらせるな!!」
このあと、一切その答えをもらえず、モヤモヤしたまま、次の町へと向かった。
おもちが仲間になった?
おもち
職業:荷物持ち?
種族:魔物