表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第三章 湖めぐり旅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/243

雪だるまを作って悪だくみするしかない


「そーれ!」


 俺はスコップで雪かきをしている。冬一番の仕事だ。


 ほっとけば、道も家もうずもれてしまうので、みんなでやるしかなかった。


 除雪機械はまだなく、今のとこは手作業なので大人達は嫌々やっている。


 俺は楽しい。


 何せ雪が降らない所に住んでいたので、珍しくて仕方ない。

 俺は子供達と一緒にはしゃいでしまい、雪合戦をして雪だるまを初めて作った。


「完成だ!」

「わーい!」


 この雪だるまが一騒動を起こすとは思わなかった。


「おおっ!」


 雪像はエルフ達にとって初めて見るもので、かなりの衝撃をうけたようだ。

 そう大したものでもないのにね。


 毎日の生活が忙しければ、芸術に目を向けてる余裕はなかったのかもしれない。

 ヘスペリスに彫刻や絵画などは見当たらなかった。


 今は機械のおかげで、ひまな時間はある。


 こうして雪祭りではないが、雪像ラッシュが始まってしまう。

 最初はみんなまともな物を作っていた。身近にある鳥や魚に森の動物などだ。


 ……しかし、人を作り出すと方向性が怪しくなる。


「裸婦像じゃねーか! しかもUMEEEE!」


 やっぱり、エ○系統にいきやがった。


 女性達も「裸夫像・・・」を作って喜んでいるから始末が悪い。


 そんでもって、俺をモデルにするなー!


 だんだんポーズが過激になっていき、子供には見せられません。


 お前ら、日本だったら猥褻わいせつ物ちんれつ罪で捕まるぞー!



 そんな中、男達はコソコソと動き回っていた。辺りを気にしておりかなり怪しい。


 女達に見つからないように、紙切れを手渡しており、メモを見た者は次の男に渡している。


 気づかれそうになったら、破いて捨てるだけだ。



「ふっふふふふふ……」


 それを見ながら、俺はほくそ笑む。

 何を隠そう、悪巧みを思いついたのは俺である。


 ピカレスクロマンではないが、悪いことをしたくなるのも人のさがだ。


 ただし、それは他人に危害を加えるものではなく、ルールを破る「悪戯」のようなものである。


 まあ女達にバレたら、まず許してもらえない。


 最初に一番信用できるエルフ男に話をもちかけて、俺は同志を増やしていった。

 そして、ほとんどの男達が仲間となる。乗ってこない者はいない。


 決行の日は近い。

 

 ホビット村に俺が移動する前日の夜、エルフ村での最後の映写会を終えた。


「本日の上映は終了しました。皆様、お気を付けてお帰りください」


 俺はマイクで場内アナウンスをしながら、ワイヤレススピーカーから「蛍の光」を流す。


 スピーカーに内蔵されてる音楽(BGM)はかなりあり、合図や時間つぶしに使っている。


「面白かったー。あー、もっと見たいなー」


 エルフ達は席を立って、出入り口へと歩きだす。


 名残おしいのは分かるが、エルフだけを依怙贔屓えこひいきするわけにはいかなかった。


 他の村の亜人達も、映画の上映を待っている。


 ふっ、俺はしがない旅芸人。


 風の吹くまま、気の向くまま、お呼びとあらば即、参上!


 と格好をつけたが、移動紙芝居と変わりない。水あめは売ってません。


 残った俺は、片付ける振りをしながら準備をする。


 エルフ達は家にかえり、やがて寝静まる。



 ……草木も眠るうし三つ時、男達はコッソリと起きて動き出す。


 フード付きマントをつけて、怪しい集団にしか見えない。

 ランタンも持たず、雪明かりをたよりに映画館に戻ってきていた。


 入り口には、もぎりならぬ見張りがおり、来た者を順番に確認している。


「山!」「川!」


「鳥!」「魚!」


 合い言葉を知らぬ者は中に入れない。そんな奴はいないが、念のためだ。


 真っ暗な映画館に大勢の男達が集まると、俺はプロジェクターの電源をいれた。


 そしてふところから、ある秘蔵円盤ディスクを取り出す。十八禁です。


 いよいよ、深夜の特別上映会が開かれようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ