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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第二章 騎士と姫

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トロッコが完成したのでお披露目をしたい

「我らドワーフは創意工夫を繰り返してきたから、ヒントさえもらえれば、作る物のイメージは直ぐに浮かぶんじゃよ」


「なるほど、だから作るのが早いわけですね。それにしてもあらゆる材料には詳しいし、道具もそろってる」


「伊達に長くは生きとらんからな、嫌でも金属の性質は知り得てしまう。やはり鉄が一番じゃな」


「地球じゃ金なんですけどね。絶対量が少ないから希少なんです」


「金か……ヘスペリスじゃ使いどころがあまりない。腐食せんのはええが、重いし柔すぎる。装飾品くらいかのう」


 所変われば品変わるか。人が欲しがらなければ、金でも価値がおちてしまう。

 貨幣経済でないから、通貨として使うこともない。日本に持ち帰りてえー!


「ところで、銅はありますか?」


「あることはあるが、銅も使わんのう。加工は鉄より楽だが」


「それとニカワと、……が必要です。ありますかね?」


「あーアレか、あるぞい。はてさて勇者殿は何を作る気じゃ? ほっほほほほほ!」


「それは出来てからのお楽しみで」


 俺は笑って誤魔化した。


 材料から加工して、各パーツをそろえて組み立てる。

 合わない部品は削ったり磨いたりしていた。又は作り直す。

 毎日、職人達は忙しかった。


 俺も翻訳係だけでは飽きるので、手伝おうとしたのだが……


「怪我をされたら困る!」


「絶対駄目!」


 しくしく、鉄船造りの時と同じく何もやらせてもらえない。

 仕方なく、ドワーフの子供達にバレーを教えることにした。ボールは持ってきている。


「バレー、面白え――!」


「勇者の兄ちゃんありがとう!」


 感謝されるのも束の間、子供達はメキメキと上達する。


 プロ顔負けのジャンプサーブや変化球サーブを、使いこなすようになってしまった。


 大人達も混じり、息抜きにはちょうどよかったが……子供相手でも俺は苦戦を強いられる。


 俺、YOEEEEE――!



 こうして一か月後、ついにトロッコは完成した。むしろレールを敷くのに時間をとられている。

 それにしても早い、早すぎる完成だった。


 進発式には全員が集まる。貨車をつけた手押しトロッコが動き出すと、


「おお!」


 皆が感嘆の声を上げる。止まったりはせず、すごい速さでトロッコはレールを進んだ。

 走って追いかけようとした子供もいたが、追いつけるものではない。


 そのままトロッコは鉱山の中へと入っていった。


 ちなみにレールは連結されているのだが、段差や継ぎ目は一切なかった。

 炎精霊サラマンダーによる溶接で綺麗に仕上がったのだ。これには俺も驚く。


 これで脱線することはないだろう。


「勇者海彦殿に感謝を!」


「ありがとう!」


 集まったみんなから一斉に拍手された。俺は照れながら頭を下げる。

 心情としては嬉しいが、気持ちは複雑だ。俺は技術を伝えただけで、何もしていないからだ。


 あくまで作ったのは職人達だ。日々の生活に役立ってくれれば、それでいい。

 それと機械のお披露目は、まだ残っていた。


 俺達は鋳造所に移動する。溶かされた鉄が、次々と金型に流し込まれていた。

 新たに作られた製造所で専門の職人も育ちつつある。


 リンダのそばに機械があり、これからデモンストレーションを行うのだ。

 俺や職人達は知っているが、一般公開されるのは初めてである。


「リンダいけるか?」


「もう何回も動かしてるから問題ない。早く取り付けて走らせたいわ!」


「まあまあ、じゃー頼む」


「出でよサラマンダー! ゲルラの炎!」


 火炉かろに現れた炎精霊が、水の入ったタンクを熱すると、


 すぐに湯気が上がり、水蒸気によりシリンダー内のピストンが動き出す。


 ピストンの往復運動は、クランクでつながれた車輪を回していた。


 車輪の回転速度は、どんどん上がっていく。


「うおー!」


「これが蒸気機関です。これをトロッコに取り付ければ、大量の鉄鉱石の運搬が可能になります」


 しかもクリーン動力だ。石炭を燃やして煙を出すことはない。

 その代わりに炎精霊で水を温めて水蒸気を作っていた。魔法の労力は少しですむ。


 おかげで大型ボイラーや煙突がいらず小型化できる。これは大きな利点である。

 精霊様々だ。そしてもう一つ、精霊の力を利用した機械があった。

ファンタジーの世界がぶち壊れます。ただ現代文明を持ち込もうとするならば、知識チートだけでは足りません。そこで魔法と機械の融合を考えてみました。


技術持ち込みネタの元祖は戦国○衛隊ですかね。

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