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ドワーフの姫に借金の返済を待ってもらいたい

 犬達の真ん中に立っているのは少女か? 


 亜人達は見た目では分からず、大人である可能性が高い。ロリエも成人女性だ。

 少女の身長はホビットよりやや高い。


 ビスチェのような革鎧をつけて、へそを出している。

 下には網スパッツをはいて、ミニスカートをつけていた。

 下着を出してはいないが、ある意味エロい格好だ。


 顔は小顔でまん丸、目の色はダークブラウン。

 美しいというよりは、可愛い部類に入るだろう。


 特徴的なのはその髪型だ。色はオレンジ、ツインテール――いやツインドリルだった。


 俺は生まれて初めて、縦ロールを見ました。


 オレンジ髪の少女は言う。


「わらわはドワーフの姫、ドリスじゃ! 族長はどこじゃ!?」


「今し方、三人とも村に戻られました」


「ぬう、行き違いか。では代わりに話せる者はおらぬか? リーダーはおるじゃろ?」


 ここで一斉に、亜人達は俺を指差す。お・ま・え・らー!


 ああ、ミシェルの時と同じパターンだ。絶対、何か言われるに決まっている。

 裏切り者どもめー! みんなで厄介事を俺に押しつけやがった。


 全員ニヤニヤ笑ってる。


 逃げようもなく、ため息をつきながら俺は歩いて近づく。

 ドリスと名乗った少女も、足早に近寄ってきた。犬達も一緒だ。


 顔を見れば怒っているように見える。俺は気が重い。

 やれやれ、まずは挨拶するか。


異界人エトランゼの幸坂海彦だ」


「ほう、お主が勇者か? ならば納得のいく説明をしてもらおうかのー!」


「えーと、なんの?」


「お主、神怪魚ダゴンを倒すのに鉄船とやらを作ったな? またボウ銃とやらの材料にも、鉄を使ったはずじゃ。大量の鉄の対価に、我らドワーフは神怪魚の半分を所望したはずじゃが、骨だけ半分よこすとはどういう了見じゃ!? お主、わらわをなめておるのか!?」


「うっ!」


 ……そう言うことか。ようは鉄の代金の取り立てにきたわけね……どうしよう。


 俺は返答につまる。恐らくロビンさんがドワーフとの交渉で決めたのだろう。

 鉄をもらった以上、借金は返さなくてはいけない。


 最初に船造りを言い出したのは俺なので、負債はのしかかってくる。

 骨だけじゃー頭にくるのも分かる。でも、ない袖は振れない。


「どうした!? 何とか言ったらどうじゃ!?」


 のじゃロリ少女は、容赦なく責め立ててくる。

 おれはタジタジとなりながら、どうするか考えていた。


 しゃーない、ここはアレしかない! 日本古来の謝罪法!


「すまなかったー!」


「な、なんのまねじゃ!」


 俺は砂場に正座して手をついて頭をつけた。THE・土下座である。


 これにはドリスも面食らったようだ。


 謝罪の表現だと告げると、慌てて立つように言われた。


「いきなり謝られても困るわ! はよう立て!」


「いやー今のとこ、これしかできないから……」


「えーい! まずは事情を聞いてやる。いい加減ソレを止めるのじゃ!」


「ありがとう」


 おれはスックと立ち上がり、砂を払った。

 土下座はやはり使えるな、少なくとも倍返しはされまい。


 あとは何とか、取り立てを待ってもらうしかない。


 借金を踏み倒す気は……これっぽっちもないよう。本当だよー!


 ただ鉄の対価となるような物は、いまのとこ持ち合わせてはいない。

 ひとまず俺は、これまでの経緯いきさつを説明する。


「……それで神怪魚モサウルスを倒す時、俺が強い酒で燃やしちまったんだ。だから骨しか残らなかったんだよー。本当にすまん」


「なんと! そうじゃったのか……じゃが、わらわもココまで来たからには、タダでは帰れぬ……ところでお主らは何をしておるのじゃ?」


 ドリスは怒りを発散して落ち着いたらしく、周りの様子に気づいたようだ。

 ボールを見ており興味津々のようである。やはり娯楽は知らないな、よし!

 

 となれば接待攻勢だ! 借金をまけてもらうぞ! 


 棒引きしてくれるのを俺は狙う。過払い金は払わんぞー!

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