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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第二章 騎士と姫

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防御魔法をなんとかしたい

 次の日になっても、騒動は収まらなかった。

 ミシェルがフローラと何やらもめている。俺は聞きたくもない。


 それでもフローラの大声は耳に入ってくる。

 周りで見ている者達はニヤニヤと笑っていた。噂話はすぐに広がるだろう。


「だからー、昨日言ったことは嘘で冗談よ。本気にしないで!」


「いや私は本気で海彦を好きになった。命懸けで助けに来てくれる男など、他にはいない。もう、ただならぬ関係にもなったし……」


「嘘っ!?」


 なってねー! 願望を口にするなー!


 これが女の見栄というやつか。どうやらフローラの思わくは外れたらしい。


 何を狙っていたのかは知らんが、逆にミシェルから嘘をつかれて、取り乱してるようでは負けだろう。


 二人に見つからないうちに、俺は足早に逃げる。巻き込まれてはたまらん!


 モサウルスがまだ暴れまわっているのに、色恋沙汰なんかに構ってはいられん。

 俺は頭を抱えながら、近くを散歩する。


 しかし本当に、鰐鮫をどうしたもんか?


 鉄船は残り一隻、ボウ銃が通じないのでは造船しても無意味。

 仮に鉄砲で撃ったとしても、あのバリアは破れないだろう。


「ナイアスの守り」を突破する方法はないものか?


 あーそう言えば、ロリエが魔法に詳しいとはばあが言ってたな。

 今、フローラやハイドラに聞くよりはまともだろう。


 宿舎にいるはずなので、俺は歩いて向かう。


 神怪魚と戦うようになってから、亜人達の一部が浜辺で暮らすようになっていた。

 日々の生活もあるので、各村から交代でやってくる。


 ロリエも臨時工房で薬を毎日作って配っていた。俺が中に入ると笑顔で迎えてくれる

 これには、かなりやされる。他の女達は張り合ってばかりだから。


「あ、お兄ちゃん! ミシェルさんを助けてくれてありがとう」


「ロリエちゃんの頼みだったからね。約束を果たしただけだ。ところで聞きたいことがあるんだがー……」


「もしかして魔法のこと?」


「おお、話が早くて助かる。『ナイアスの守り』を破る方法はないかい?」


「うーん。神怪魚の魔力が尽きないうちは破れないと思うの……精霊には精霊をぶつけるしかなくて、防御魔法を直接消すのは無理なの……」


「……そっか」


 俺はガッカリするしかなかった。


「でもどんなに魔力を持っていても、意識したところにしかバリアは張れないから、必ず隙はできるわ」


「……そっか、何とかその隙をつくしかないのか」


「力になれなくてごめんね。お兄ちゃん」


「いや十分だ。もう少し考えてみる」


 俺は手を振り、クルーザーに戻ることにする。

 見れば湖の侵蝕は進んでおり、濃藍色の瘴気ミアスマは毒毒しい。


「早く神怪魚を倒せ!」と女神にかされてるようだった。

 俺の方こそ言い返してやりたいのだが。


 飯を食い、夜遅くまでパソコンをいじりながら策を考えて見たが、


 あー、もう止め止め! 一人で考えるのも限界だー! やってらんねー!


 頭が爆発しそうになったので、もう休むことにする。明日みんなと相談だ。


 寝る前に戸棚から、ある物を取り出して見ると……


「ちょ待てよ! これは使えるんじゃないか?」


 だ・け・ど……これを利用にするにはアノ手しかない。


 うー! 下手をすると確実に俺は死ぬ。とは言え時間もなく、他に手はない。


 俺は覚悟を決めて、ある作戦をやるしかなかった。

なんだか「イン・ディヴァインマスター」と同じく、知略戦・頭脳戦ぽくなってきました。


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