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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第二章 騎士と姫

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技術流出は防げない

「……俺は何か恨みを買うことをしたのか? 心当たりがなさ過ぎる」


「矢を撃つのに鉄船が、邪魔だったんじゃなーい?」


「あと、こっちの船が進路上にあったからでしょ」


「おっ! 二人共無事だったか。よかった」


 鰐鮫が逃げたので、フローラとハイドラはこっちの船に乗り込んでいた。

 小舟まで泳ぐよりは早い。

 二人の言うことに間違いはないだろう。ただ俺にも言い分がある。


「こっちが邪魔だと言われてもなー……確かに助けられたが、勝手に戦いに割り込んできたのは向こうだ。あれが人間の王国軍ってやつか?」


「そう見たいね。私も軍隊は初めてみるわ」


「たまに村に来るのは軽装備の使者だし、道路を作るのは職人だからね」

「なるほどなー」


 一応、感謝はしておこう。ピンチの所を助けられたのは事実だ。

 来ないと思っていたから、俺は人間達を少しは見直す。


「しかし使っているあのボウ銃、俺達のより威力があるぞ。ひょっとして、鉄製クロスボウか!? あれは大型弩砲バリスタだ」


「だわさ、板バネを使って二本同時に矢を撃ってる」


「そんな技術があったのか?」


「いんや、海彦が来るまでボウ銃はこの世界にはなかった。おばば様が、あたいが作った物と、『ぷりんとあうと』した紙を一緒に、人間の王様に持って行ったらしい」


「そうか、印刷した資料と試作品のボウ銃を持っていったのか。それなら話は分かる。あの婆、技術を流出させやがったな。ボウ銃にかなり改良と改造がくわえられている」


「そうね、弦引きに巻上げ器を使ってない」


 ガレー船に仕掛けられた装置によって、弦は引かれていた。


「アーアー!」


 ターザンロープを持った水兵が、帆桁ほげたから飛び降りている。

 すると動滑車が回り、弦はロープで引かれて留め具にかかる。


 人を重りにして滑車を使うことにより、弦を引く力となっていた。

 実際の帆船でも、帆を張るのに滑車を使うのでその応用と言える。


 矢が発射されると、一瞬で弦が引かれる。矢の装てんも速い!

 これなら連射可能で、ボウ銃の弱点を見事にカバーしている。

 ただ、帆柱マストを上り下りしてる水兵達は大変そうだった。

 

 鰐鮫が逃げ出した理由もよく分かる。

 防御魔法のバリアはドンドン薄くなり、赤い精霊が次々と消えていってる。

 矢の威力に耐え切れなかったのだろう。


「ナイアスの守りにも限界があるわ。魔力がつきたらおしまいね」


「あの攻撃は防ぎきれないわん!」


「そうか……」


 エルフ二人は、やや興奮気味に語った。

 命の危険にさらされて、いくさに酔ったのかもしれない。


 ガレー船は逃すまいと攻め立てるが、鰐鮫も必死に泳いで向きを変えた。

 これにより速度の乗ったガレー船は直ぐには曲がれず、少しの間攻撃が止んでしまう。


 この隙に、鰐鮫は水に潜って逃げてしまった。


 惜しいとも言えるが詰めは甘い。戦いは二手三手先を考えておかないと駄目だ。

 やはり網などて退路を断っておく必要がある。


 この後、鰐鮫が姿を現すことはなかった。


「ちっ!」


 騎士が手を上げるとガレー船は止まり、この場から引き揚げ始める。

 俺達も浜辺へと向かった。全ての作戦は失敗におわり、気が滅入る。

 ……また負けた。犠牲者が出なかった事だけが幸いである。ロリエの占いどおりだ。

 

 俺達は浜辺に上陸して砂浜に下りる。見れば、ガレー船から小舟が向かってきていた。

 木造とはいえ大型船では座礁するので、こっちまで直接は来られないのだろう。


 ボートに乗っているのは、イケメン騎士と毛むくじゃらなオッサンだ。

 灰色の髪や髭で顔が見えない。まあ、従者といったところか。


 ボートが浜辺につくと、騎士は颯爽と飛び降りて着地する。

 所作もかなり格好よく見栄えする。見てくれも、俺よりはるかに上だ。

 名乗りも堂々としたものだった。


「私は王の代理、騎士ミシェルである。代表者は名乗り出られよ!」


 皆が一斉に俺を見る。ちょっと待て! 代表は族長のロビンさんだろ。

 ロビンさんを見れば、「どうぞどうぞ」と言わんばかりに手をふっていた。


 また、俺におしつけやがったな爺! 


 待たせる訳にもいかないので、仕方なく俺は騎士に近寄るが……

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