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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第六章 湖めぐり旅4
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番外編7 平和を守りたい

 学校はないので、ラヂオでの通信教育だ。


『いんいちがいち、いんにガニ、いんさん画賛……』


 同じ事を繰り返して聞くだけなので、頭に残るから覚えやすい。


 雅先生の教え方も、分かりやすくて良かった。


 読み書きも各村から交代で講師が来てくれるので、俺達もそれなりに文字は読めるようにはなってきた。


 本当に知識は大切だ。海彦には感謝しかない。


 アマラ嬢が進めている、勇者神社を建てる計画には村の誰もが参加している。


 生活が落ち着いたら建築が始まるだろう。



 さて、俺達獣人族も作って売り出した物がある。陶磁器とうじきである。


 粘土・釉薬うわぐすりかまの知識は、もちろん海彦が教えてくれたものだ。


 原料はニュクス湖にすべてあり、もともと自分達で焼き物を作っていたので、コツをつかむのに時間はかからなかった。


 できあがった白い皿を見たときは、感動したものだ。食器は飛ぶように売れた。


 それ以上に売れている物がある……便器だ。やはりトイレはなくてはならない。


 排泄物を放置するのは良くないと知ったので、各村で下水道の整備は進んでいる。


 そのままにしておくと、虫は湧くし臭いからな。


 そして綺麗な洋式便器が好まれる。水で流せば汚れは残らないので便利だ。


 ただ焼き物なので、失敗作は必ず出てしまう。


 それを壊そうとした所、買いつけにきたエルフに止められた。


「捨てるなら安く売ってくれ! 欠けたところは、貝殻パテと金継ぎすれば補修はできる。あとは樹脂を塗れば使えるんだ。公衆便所に使ってもいいし、壊すなんてもったいない!」


「いや職人としてのプライドが……失敗作を売りたくはない」


「そんなものはドブに捨ててくれ!」


 こうして、便器は残らず買われてしまう。やや良心が痛む。


 ……次の日、俺は交易所で野菜を買っていた。


「不ぞろいで形が悪いから、家畜の餌にする? もったいないわ! 腹に入れたら関係ない。生産者の誇り? それこそ豚のエサでいい。いいから、その野菜を安く売ってくれ!」


 昨日のことは、とうに忘れた。



 まとまった金が入るようになり、女房達も欲しい物を買っていた。


 鏡と化粧品だ。暇さえあれば鏡とにらめっこして、顔や肌に何かを塗っている。


 見ていた俺は素直な心で、余計な一言を言ってしまう。


「あんまし変わんねーじゃねーか? ――へごおぉ!」


 思い切りぶん殴られた。息子は……


「母ちゃん、美人だ!」


 それからしばらく、息子のおかずは豪華になり、俺は余り物しか食わせてもらえなかった……シクシク。

 


 そして子供らにも自転車を買ってやることができた。


 ただ数台しかないので、交代で乗り回している。それでも不満はでない。


 なぜなら、他にも遊び道具が増えたからだ。スケートボードにキックボード。


 作りが簡単な物はたくさん手に入り、絵を描き込んでる子供もいる。


 それとバスケットボード。球技はいろいろあって奥が深い。


 場所をとらない玉入れは、村であっと言う間に流行る。やってて楽しいからな。


 これもスポーツ大会でやるべきだろう。女達の試合は見たくないが……。



 俺達はトレーニング方法を知り、運動器具のおかげでかなり強くなっていた。


 武器もあるし、いつでも戦える……魔物? 


 見たら殺す! いたら殺す! 攻めてきたら皆殺す!!


 俺達の平和をおびやかす者は許さん! 容赦はしない!


 大軍勢が来ようと、勇者の知識と全部族の力があれば負けるわけがない。


 ただ、目下もっかの敵は……


「あークソいのししめ! 畑の作物を食い荒らしやがってー! 堀を深くして柵を強化だ。おのれ鳥ども! 人が作った稲穂を食うんじゃねー! 電動こけ……案山子かかしだ! あとは精霊に守らせる!」


 ……ああ、毎日忙しい。

「これにて番外編も終わりです。次の章はいよいよ……なんですか? リンダさん」


「オイ作者! アタイが出てないだわさ。ヒロインは出すって、言ったよな?」


「雅様は出番があったけど、私も少しも出てない……」


「あ…………忘れてました。ごめんなさーい! ブクマ・評価お願いしまーす!」


「コラー! 逃げるなー!」

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