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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第六章 湖めぐり旅4
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番外編3 祭りを楽しみたい

「父ちゃんつかれた……」


「そうだな、座って飲み物でも飲もう」


 いつまでも、女達の合戦を見ていても仕方ない。これはしばらく続くだろう。


 俺達親子は近くの飲み物屋に移動する。


 光る金属(ステンレス)の水槽があり、中にはびんと氷が入っていて、飲み物を冷やしていた。


「ジュースは冷たくて美味いぞい。口の中の刺激はたまらんぞー! さあ買った、買った! 三本で小金貨一枚じゃ!」


 飲み物を売っていたのは、ドワーフ族長のチャールズ殿だった。


 ちなみに他の族長達も、露店を出して食い物を売っている。


 たこ焼き・イカ焼き・焼きトウモロコシ・焼き芋など。


 族長とはいえ、そんなに手当をもらっているわけではなく、日々の糧は自分で稼がなくてはならなかった。


 ただし、物を買う権利が優先されてるので、それだけは羨ましい。


 特に手首につけてる、「腕時計」は格好が良かった。もう族長のあかしである。


 勇者が教えてくれた技術の結晶で、ドワーフでも作るのには時間がかかり、小さくするのは大変だったようだ。


 なので族長達は腕時計を、とても大事にしている。これが宝物というやつだろう。



 俺はジュースを買って息子に渡し、一本はキープしてもらう。女房の分である


 長椅子に座り、コルク栓を外して飲むと、


「なんじゃこりゃぁあああ!」


「うめえ――――!」


 口の中で泡がはじける。俺と息子は炭酸飲料とやらを初めて飲んだ。


 なんでもドワーフ村の近くで炭酸泉が発見され、これを使ってジュースが作られるようになったそうだ。


 ぶどうやみかんの果汁に砂糖を混ぜてるらしい。コーラはよく分からん。


 言えることは、ただ美味い。ビールとはまた違う。


 まあ、口に合わんかった者もいて、炭酸抜きに替えてもらっていた。


「飲み終わったら、瓶はそこの木箱に入れといてくれ」


 瓶は回収して洗い、繰り返して使うそうだ。


 ちなみにアルザス製のガラス瓶は、落としたくらいでは割れず、勇者の知識でさらに強度が上がったらしい。


「ふう」


 そこに汗をかいた女房が戻ってきた。


 全身傷だらけになりながらも、スッキリした顔をしている。


 目当ての物は買えたらしく、大きなトートバッグを肩にかけていた。


 中には衣類が入ってるだろうが、俺用の物はあるまい……。


 キープしていたジュースを手渡すと、


「ゴクゴク――ぷはあぁ、もう一杯!」


 喉はカラカラだったようで、あっと言う間に飲み干してしまう。


 俺は小金貨を取り出して、もう三本ジュースを買うことになる。


 気づけば夕暮れとなっていた。時間が経つのは早く、俺達は宿舎へと向かう。



 収穫祭の前に宿舎は部族ごとに建てられたので、野宿はしなくてすむ。


 夕食も出かける前に注文しておいた。折角の旅行だから働きたくはない。


「おまたせー、ご注文の品をお届けにきたわん」


 電動オート三輪で、寸胴鍋ずんどうなべとおひつを運んできたのはハイドラ嬢。


 配送なら右に出る者はいない。時間通りに丁寧に運んでくれる。


 ただ色気をそこら中に振りまくのは止めてほしい……女達がにらむから。


 金を払って荷をおろし、女房達は皿によそって全員に配る。


「かれーうめえー」


 これも初めて食った。米との相性は最高で、この辛さはくせになりそうだ。


 みんな争うようにして食べたので、寸胴鍋が空になるのはあっと言う間だった。


 金はかかったが、多めに注文して正解。もちろん仲間達と割り勘だ。


 明日もあるので、今日は酒は飲まずに寝ることにする。


 ……この時すでに、金の半分はなくなっており俺は気づけなかった。



 二日目。

 パンと牛乳の朝食をとり、俺達はでかける。


 今日はあるイベントがあるので、それまで時間を潰す。


 みんな心に余裕ができて、仲間達はバラバラに行動していた。


 露店を見て歩くだけでも楽しい。


 本屋・楽器屋・電器屋に大人のお店、色んな品物が並べられていた。


 値段はのきなみ高いようだが、それでも客の数は多くて売れている。


 中には部品だけを買って、自分用のラヂオを作ってる強者つわものもいた。


 俺も欲しい。獣人村にはまだ一台しかないからな。しかし、ここは我慢。


 そして俺達は展示会場へとやってきた。

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