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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第四章 湖めぐり旅2
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俺の物語は終わらせない!

 まだまだ宴会は続いている。祭りはたぶん一晩中続くので、基地内ではうるさくて眠れん。


 俺はメイン甲板(デッキ)から、ロワーデッキに下りてベッドルームに向かう。


 スライドドアを開けて中に入り、室内照明をつけると、

 

「なっ!」


 寝室にアマラとシレーヌがいたので、俺は少し驚く。


 ここで引っかかっていた答えがでる。外の広場に二人の姿が見えなかったからだ。


 なぜか居なかったので、気になったのだろう。


 どうやら二人は俺をずっと待っていた……いや、待ち構えていたようだ。


 問題なのはその格好で、バスタオルだけをつけてベットにいたのだ。


 二人は俺に近寄ってくる……この状況はマズイかもしれない。


 いくら何でもナニをしにきたのかは察しはつく。寒い鈍感キャラではない。


 それでも俺は空しい期待をこめて、白々しく聞いてみることにした。

 


「あー、二人ともどうしたんだ? 宴会はたけなわだぞ、いなくていいのか?」


「……海彦。神怪魚ダゴンを倒してくれて本当にありがとう。アマラ、お礼をしにきた」


「私もです!」


「いやいや、みんなの力だ。俺は何もしとらんから、気にしなくていいぞ」


「それでは気が済まない。だからアマラをもらってくれ!」


「はーい、海彦さん。私達といいことしましょ! 今日は危険日だからバッチリです!」


「バッチリじゃねーよ! やめれー!」


「あれー? 全然のってこないです……あ! 私の誘い方が悪いんだ」


「たぶんそうだな、シレーヌ」


「シャチョサン、シャチョサン、Hしよ! ワターシ、子種ホシイ、アルね」


「ぶっ!」


 どこの外国人パブだー! そもそも、何でそんな言葉を知ってるー!?


 俺は気前のいい金持ちのオッサンじゃねー!


「お願いだ海彦、子種をくれ。危険な狩りをする生活はもうすぐ終わる。これからは交易と耕作の時代だ。ならば力よりも、海彦が持っている知恵がいる。アマラ賢い子を産みたい!」


「私達人魚も男性を選ぶことにしました。頭の良い海彦さんは、子作りのお相手として最高です! 他にはいません!」


 二人とも部族の将来を、第一に考えているとこは偉いと思う。


 フタバ竜と何度も戦ったのも村のみんなのためで、そこに自分の欲はない。


 この行為もそうだろう。アマラとシレーヌは立派だ。


 ……だからといって、童貞をやる気はないぞー! 気持ちは分かるが情には流されん!


 ドワーフ温泉以来のまずい状況だが、俺は何とか説得してみる。



「まてまて! はやまるな二人とも!」


「どうしてダメなんですか? 気持ちいいと思うんですけどー」


「そうだ、そうだ!」


「うむ、それには海より深い事情がある」


「なんなのだ海彦?」


「それはだな、性行為(S●X)をしてしまったら、『なろう』からアカウントごと作品が消されてしまうからなんだー! 垢BANとも言う。運営さんは甘くない。日本には帰りたいが、その前に存在ごと消されたら洒落にならん。噂では濃厚なキスシーンを書いただけで、消された作品もあるそうだ……」


「……アマラ、海彦が何を言っているか分からない」


「じゃー、男性向け18禁の『ノクターンノベルズ』に移りましょう。それなら問題ないですね?」


(じょ、冗談ではない! 俺は健全なラノベを書いてるんだー!) 


 何やら作者の声が聞こえてきた。俺同様、相当焦っているらしい。


 とにかくこの場を何とかしないと、マジに運営さんから消される!


「あーもう面倒くさいのだ! シレーヌ、海彦をおさえてくれ!」


「分かったわ! アマラちゃん」


 とうとう力尽ちからずくできやがった。一人でも俺に勝ち目はなく、二人がかりでは手も足もでない。


 ハイドラとドリスのように、やる順番でもめたりはしないだろう。



 ああ、これまでか……


 さようなら『なろう』、さようなら読者の皆様、今まで応援ありがとう!


 感謝、感謝。


 作者の次回作にご期待下さい……て、終わってたまるかー!

 

「海彦、いい加減に観念するのだー!」


「そうですー! 私達と○Pしましょう!」


「いやだー!」


 俺は必死で暴れまくる。久々にスキル〝火事場の馬鹿力〟を発揮した。


 このまま、やられるわけにはいかない!

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