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Overwrite~普遍世界の改編者~  作者: アルマ
一章 Seven Days : Overwriting
15/43

♯13 這怒ノ夢 Ⅱ

今回は、下手したら今までで一番えげつないかもです。

よろしくお願いします!


「━━……くん、倉田くん」


 誰かが僕の肩を揺さぶっている。僕の名前を呼んでいる。あぁ、聞き親しんだこの声は。


 薄目を開けて右横を覗き見れば、視界に映ったのは予想通り、幼馴染じゃないか。呆れ笑いを浮かべながら、鳴海は僕を見ている。


「授業中、だよ?まだ」


「あー…………寝ちゃってたのか、僕。今なんの授業?」


 鳴海は自分の教科書を僕に見せびらかす。教科書表紙にはよくわからんイラストを背景に、『高校英語』的な文字が書かれている。なるほど、今は英語の授業だったのか。


「なんか、変な夢を見てた気分だわ…………」


「夢?どんな?」


「えーっとだな…………なんだっけか」


 頭を捻るも、明瞭に思い浮かばない。さっきまで薄っすらと覗かせていた記憶の片鱗は、触れれば溶けて消える雪のように、儚く霧散していく。はて、僕は何を見ていたんだろう。なんとなく、あまり楽しげなものでは無かったはずではあるが。


 耳を通り抜ける、外国語の羅列。幾度通り抜けど、決して、脳に記録されることはない。時が流れるのを誰も止められないように、誰も教師の言葉を止められないように。先程まで見ていたであろう夢への問答を止めることはできない。胸に杭打たれたかのように、引っ掛かって思考をつっかえさす。夢なんてすぐ忘れるものだと頭ではわかっていても、どうにも腑に落ちないのだ。


 僕は胸の奥底にまで湧き上がる謎を押し込めて、窓へと視線を移す。空は雲一つない青空で、見ているとどこか清々しい気持ちになる。


「うわぁ、全然ノート取ってない!駄目だなぁ倉田くんは…………」


「まぁ、寝てたからな…………一切書いてねぇや」


「何、昨日夜更かしでもしたの?」


「え?…………あ、あ━━どうだったか」


 あれ?昨晩何時に寝たんだったか。昨晩何してたんだっけ?記憶をいくらほじくり返しても、何も思い出せない。


「それすら忘れちゃったの?倉田くんの頭、老化進み過ぎてない?」


 ふふ、と微笑む鳴海に対し、苦笑いで応じるしかない。鳴海の言うとおり、いよいよもって僕の記憶力やばいかもしれない。


「まぁ、これ使って今からでも遅れ取り戻そうよ」


「え、あ…………」


「ほら、ノートだよノート。埋めてないと提出の時困るでしょ?」


 視界の右端に現れた、鳴海の英語用ノート。ニコニコ笑いながら、鳴海が差し出してくれていた。


「あ、すまん。ありがとう」


「どういたしまして」


 有難くノートを受け取り、礼を言う。


 日頃から宿題の答えを写しまくっているためか、ノートを書き写すのは得意だ。ギリ自分には読める程度の字でなぐり書きして、白紙を埋めていく。


 鳴海のノートには板書の他に、ワンポイントコメントのようなものをあっちこっちに散りばめ、色分けもしっかりしていて、すごく見やすい。今までも何度か鳴海のノートを借りたことがあるが、いつ見ても感嘆するしかない。先生の話を聞きながらここまでキッチリ丁寧にノートをまとめあげるとか、手際よすぎだろ。


「倉田くんは、本当だらしないよね。もっとシャキッとしなきゃ、女の子は振り向いてくれないよ?」


 僕がサラサラとノート写ししている横で、楽しげに笑いかけてくる鳴海。


 先生に会話しているのがバレないように、少し顔を近づけて喋っているため、距離が。シャンプーの匂いが鼻孔を芳しく撫でては、脳内の煩悩を掻き立てようとしてくる。理性全開で煩悩を抑えながら、ただひたすらに手を動かす。


「━━いつも、身近にしっかり者がいるせいで自立心が育たんからな、仕方ないよね!」


「しっかり者って私のこと?ねぇ、私のこと?」


 さらにグイッと顔が近づく。


 嗅覚に意識が急速に傾き始め、手が止まりかける。


「ちょ、近い近い。そうだよ、鳴海が手際よくいろいろしてくれるから、僕はダラけれるんだよ。逆に言えば、鳴海がスペック高いせいで僕は堕落の道を進んだってことだな!」


「何それ、私がまるで悪い見たいじゃん~」


「いやいや、このままサボり癖直らなかったら将来まずくね?下手したらニート行きか!?」


「そこまで悲観的に未来案じなくてもさぁ。倉田くんのネガティブ思考はいつまで立っても直んないね…………」


 そんなにネガティブな考え方か?世の中機械化やら女性進出なんかで職の空きスペースなんてどんどん減っている。特に機械による自動化は著しく、今ある職業の一部が、数年もすれば機械に任せられるらしい。高校教師ですら、機械に置き換わる可能性があると聞いた。そんな中、社会に無職が増えるのは当然で自然。つまりニート増加とは、機械発展の兆候、男女平等の普及の証。


 と、なんだかよく分からない弁明を頭で作り上げる。


 どうでもいい言葉の羅列を生み出すことだけは、妙に得意なんだよなぁ…………昔から。昔からっていうのが、どこまで前からなのかは知らないけれど、それでもたしかに大層前からこんな物の見方をしていた気もする。捻くれていると言うよりかは、つい難しめな言葉と理屈じみた内容に凝ることが単に心地よいだけなんだけど。


 僕の視線から、何か不満感が滲み出ていたのだろうか。「あ、ごめんごめん」と両手を振って慌てる鳴海。


「そうだった、倉田くん曰く『僕はネガティブじゃない。ネガティブの側面とポジティブの側面を併せ持つハイブリッド、ポガティブだ!』だったもんね。ネガティブ思考じゃないんだよね!」


「そんなこと言った覚えないんだけど?」


「言った、言ったよ。小学生くらいの時かなぁ、私にキリッと振り返って豪語してたよ!大して誇らしくもない内容なのに、ドヤ顔で!」


「マジかよ…………」


 全く覚えてない。なんだよポガティブって。うまく言ったつもりなのか小学生時代の僕。ドヤ顔とかウザすぎだろ…………。


「そういえば、あの頃だったよねぇ?倉田くんが雰囲気ガラッと変わったの。周り戸惑うくらいに、ホントにガラッて。しかもそれらしい起因が見つからなかったから、周り凄く動揺してたんだよ。私も含めて」


 ノート写しにひたすら右手を動かす僕を傍目に、急にしみじみと語り出す声が右から聞こえてくる。


 右に七十度ほど首を回せば、本当に遠い過去を思い返しているような表情で、どこか天井の方を眺めていた。いや、眺めていたのはきっと天井などではなく、彼女の海馬に刻まれた心象だ。通り過ぎた幾つもの思い出を、飛ばし飛ばし、早送りを繰り返しながら、咀嚼するように現在へと辿っていく。


「今じゃポガティブさんだけど、昔は全然違ったもんね。なんか勝ち気で、容赦なくて我儘で。今のプライドの低くて一歩退きがちな━━よく言えば大人しい倉田くんとは大違いだったもん」


「うん………………?」


 案外、自分の昔の姿なんて当人の記憶に残らない。だって、自分が何をしようと、それを見ているのは周囲の人間であって、自身は自分を見られない。だから、よほど嬉しさ悲しさが極まった思い出くらいしか当人の脳内には印象づいていないものだ。


 つまる所、僕はどうやら全く、その頃の自分が印象に残っていない程度のものらしく、いまいちパッとしないのだ。


 どうにも、僕にそんなことがあったという実感が沸かない。


「そんな事あったっけ?」


「あったよ。覚えてないの?」


「うん、いまいち━━━━あれ?」


 ノート写しも、今まで書いた文量的に佳境に入ったと思われる。一段とスピードを上げようと、むん、と意気込んで次のページへと一枚捲ると、その先は白紙だった。


 ここまでしか書いてないのかと、黒板を確認してみると、内容がズレている。黒板が教科書八十七ページの内容を示しているのに対し、鳴海のノートは八十五ページまでの内容しか書いていないのだ。提示されていたらしき問題も、鳴海のノートには一切解かれていない。


「鳴海、こっから先が無いんだけど…………鳴海?」


 再度、隣を振り返る。今度は中途半端な角度を残すことなく、正面に幼馴染を捉える。


 窓から入り込んだ風が、妙に背中に悪寒を感じさせて、何故だか身体の芯から震えるのを感じた。


 幼馴染の表情は、酷く無機質なものだった。


 悲しげではあるようで、哀れんでいるようで、なのにそれはのっぺりとしたものに感じられてしまう。そう、作り物を見ているような気分になる。


 そんな酷く形容し難い表情で見つめられていると、何故だが心がざわめいて静まらない。窓からは依然としてそよ風が入り込み、鳴海の髪を優しく揺らしていく。


「覚えてないの?」


 風が一瞬強まったと感じた。突如降ってわいた静寂を通り過ぎる突風に舞う、鳴海の茶髪。気付けば、教師のひどく退屈な言葉も、クラスメイトの声すら聴こえない。


 何故だか目を逸らしてはいけないと言う強迫観念に駆られて、僕は鳴海と直視し合った状況が続く。しかし、それは長くは続かない。目を逸らしたいという気持ちか、それとも単に目が乾いたのか、どうにせよ自然と瞼がほんの一瞬閉じる。


 瞬き一つ。


 それがトリガーだったのかは分からない。が、たしかにそれを節目として、周囲の風景は多大に変化を迎えたのだ。まるでさっきまで元々こうであったと言うように、自然な形で。


 さっきまでの青空とはうってかわって、突如赤く色付いた空。それが暁の空なのか、黄昏の空なのかは到底判別がつかない。夜明けも日暮れも、科学的には完全には判別つかない、そんな話を何かの漫画か小説かで見た覚えがある。


 クラスメイトも教師も教室には居ない。教室は二人、僕と鳴海だけ。あまりにも静かすぎて、まるで世界に二人だけ取り残されたような錯覚を覚える。


 僕は思わず息を呑む。目を見開いては閉じて、また見開いて━━何度瞬こうとも周囲の風景は変わらない。ただ正面に一人の少女が映るだけ。


「ねぇ、ヒーくん」


 重苦しい空気の中、鳴海は口を開く。この話題を払拭してくれれば、そう僕の心は自然と願わずに居られない。しかしその本懐は叶わず━━


「覚えてないの?昔のこと」


 もうその話題はやめてくれ。


 頼むから、一旦口を閉じてくれ。


 声にもならない叫びが必死に鳴海を訴えようと、それが届くわけがない。


「昔のヒーくんのこと、全く覚えてないの?」


「…………………なぁ、鳴海」


「私の事を『花音』ってずっと呼んでくれてた時のこと、覚えてないの?今じゃ他人行儀みたいに『鳴海』だなんて。時々しか私のことをそう呼んでくれない」


「それは、鳴海だって僕、を……………『ヒーくん』って人前では、言わない、だろ…………!!」


 声を必死に絞りだす。まるで首を締められているようだ。言葉を発するのがこんなにキツいだなんて、初めて知った。


 僕の指摘に何の答えも返さず、鳴海はゆらりと立ち上がる。まるで、操り人形のような不気味な動き。そのまま僕に覆い被さる。抱きつかれる。


「鳴海…………!?」


 背中に多い被さられ、僕の背中と鳴海の前面とが完全に密着している。体重を預けられ、柔らかな重みと温かさとを肌では体感しているのに、その時の僕の心情としては鉛の塊が乗っかっているようにしか思えなかった。


「ねぇ、覚えてないの?」


 甘い声が、耳元を撫でる。頭を強く狂わせるほどに甘いのに、その実機械的だと感じてしまう。


「ねぇ」


「やめろ…………」


 鼓膜が撫でられるような甘い声に、悲痛を漏らす。


「ねぇヒーくん…………」


「やめてくれ…………」


 よし一層、身体に乗っかかった重みが強まる。僕の前へと回され鳴海の細い腕が、増して強く僕をロックする。まるで逃さないというかのように。


「思い出させて、あげようか」


「…………っ!!」


 何故か、心の奥底から強く嫌悪感が湧き上がって、唇が震える。触れられたくないと思った。彼女がなぞっている琴線は、きっと僕の心臓よりも大切な何かのものだと、知らないわりに確信していた。


 血の気が失せて真っ白になるくらいに、拳を強く握りしめ震わせて。


「望むままに、ヒーくんの本質を。私が教えてあげようか」


「やめろ!!」


 堪え切れず、声を荒らげてしまう。教室の静寂を波紋のように伝わって、僕の怒号はよく通った。


 ハッとなって、突然後悔の念が胸中を満たす。それはきっと僕が声を荒げたことに対してだけではない。どこかで知りたいと願った僕の心のせいでもあると思う。


「やめてくれ…………」


 今度は、懇願するように呟く。胸を締め付けるような疼痛に歯を噛み締め、それでもたしかに言葉を絞り出した。先程は声がよく通ったというのに、今回は静寂の中へと溶けていった。


 不意に背中の重みが外れた。しかし、軽くなった身体とは裏腹に、僕の心は重苦しさが増すばかり。後ろを振り向くのに躊躇いの情が巻き起こるも、ゆっくりと視線を右にずらしていく。


 視界が右へ右へと動くその途中、気付く。視界に、本来教室には無いものが映っていることを。


 誰も居ない教室に、並べられた机。その机一つ一つに花瓶が置かれている。その花瓶一つに対し一本ずつ生けられた白い菊。瞬時に脳はそれをたしか献花に近しいものだと判断し、その意味を理解する。


「なぁ、これってどういう━━」


 動揺に弄ばれるまま、僕は単調に問うことしかできず、勢いよく鳴海の方へと振り返る。


 絶句。


 いや、なんだよ。なんなんだよ。さっきまでのも今も、何もかも全く、なんなんだよ。わけわかんないしわけわかりたくないし。いや、ねぇ?


「………なる、み……?」


 掠れる声で幼馴染の名を呼ぶも、返事はない。


 目の前には項垂れた鳴海の姿。


 天井や床、壁から伸びた鎖が彼女を宙吊りにし、楔が彼女の心臓辺りに深く刺さっている。肉塊からポロポロと垂れる血雫は、あっさりとその足下に水溜りを作り上げる。華奢な腕も脚も、おかしな方向に捻曲げられていて、絞られた雑巾のようだった。


「鳴海ぃ………?」


 手を伸ばして、幼馴染だった()()に触れた途端。


 少女の無惨な死体は、ドロドロと表面が溶けて、ポトポトと肉片を赤い水溜りへと零していく。肉片は赤い液体となって水溜りと同化する。赤い雫が跳ねては周りの机を汚していく。


「うわ、あぁあ…………あ…………ぁああ?」


 僕にできる事といったら、嗚咽を漏らすことと目を見開くことだけ。ただ目の前で決壊していく幼馴染を傍観することだけ。無力にも程があった。無能にも程があった。


 白い菊はその花弁を黒く枯らせ、散っていく。次いで、茎からは新たに赤い花弁が幾枚か生み出されれば、限界まで開いて、教室に新たな()をもたらす。それがまるで僕を注視しているように、僕の方へと花弁を開けているのがまた恐ろしい。


 教室は次第に紫紺に染まっていく。空は明るい部分と暗い部分とに二分割され、しかしやはり雲はなかった。


 窓から入り込む風が、力無く項垂れる彼女の髪を揺らす。


 そして、最後に彼女の頭がポロリと血の池に飛び込んだ。



   ✕ ✕ ✕



『こんなもんだろう、こんなもんだろう?』


 教室のスピーカーから聞こえてくるのは、嘲りまみれのからかい声。


「なんだよ、こんなもんって…………」


『決まってるだろ。目の前のものは全てお前の近しい未来だ』


「近しい、未来…………?」


『そうだ。後はお前が死ぬ事で、この心象は完成する』


 どこか聞き覚えのある声は、淡々と語る。


『お前の選択の成れの果てがこれだ。幼馴染もお前も死ぬ』


 教室を満たす赤い液体に吐き気が催す。これ全てが、幼馴染…………?


『お前がもっと最善手を打っていれば、こんな結末にはならなかった。お前が誤手をカバーできるだけの能力があれば、鳴海花音は死ななかった』


 咎められている。そう感じた。


『鳴海花音が死ぬのは、お前が無能だから』


 両手を見る。


 思い出した。僕は鳴海の姿をした灰崎に負けたんだった。


 蒼鉄に覆われた両腕。この能力では、太刀打ちできなかった。この異能では━━


『おっと、その能力を恨むのは検討違いも甚だしい。そうやって自分の過ちを押し付けるのもまたお前の弱さだ倉田ヒロ。それら総て踏まえて、お前は弱者過ぎたんだよ。その"弱さ"が、『鳴海花音も自分も生存ルート』という未来からレールを逸したんだ』


 弱い。そう、弱かった。ただひたすらに弱かった。奇策も会心の策も、全て灰崎には届かない。鳴海の鎖が全てを阻み、僕を穿つから。


『お前にはその能力は扱えない。扱えるわけがない。この俺がいる限り、お前にはこの"意志ある天の牢獄"を意のままに操ることは不可能』


 意志ある天の、牢獄…………?それは、なんだ。


『そして俺がいる限り、お前はそう死なん。お前が、俺に身を委ねればな』


「身を委ねる……?」


『あぁ、意識も肉体も全て……。お前が俺を無意識に抑えているせいで俺は身動ぎできないからなぁ?俺を解放すれば、まだ救われる可能性もあるぜ?』


 教室の扉をガタガタと揺らし音を立て始める。ドンドンと、扉が叩かれる。


 扉の窓から向こうを覗こうとも、暗闇しか見出だせなかった。底知れぬ唯の闇。


 扉にはいつの間にか鍵がかかっている。


『その鍵を外せ、弱者』


『お前がどう足掻こうともう無理だ、諦めろ』


『俺を解放しなきゃどの道終わるぞ』


『俺なら鳴海花音を救い出せる。その最善手を選ぶ事ができる』


『選べ。鳴海花音共々死ぬか、共に生き延びるか。もっとも、俺を解放した後お前がどうなるかは知らんが』


『また選択を逃げ出すのか?弱者であることを認めるのか?』


『言い方を変えよう』


『鳴海花音を救いたいか?』



   ✕ ✕ ✕



 赤黒い奔流に晒されて、僕は瞳を閉じていく。


 モゾモゾモゾモゾ。


 僕の身体に侵入しては、這い回って貪って。


 ああ、そうか。今更分かった。


 あの声は、きっと━━


 ━━僕のものだったんだな。

読んでいただきありがとうございました!

気づいた方もいるかと思いますが、タイトルとあらすじを多少弄りました、はい。

次回もまた明日の0時頃。

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