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第13話 異世界のお城で王太子と話す

 そんなわけで王女の治療をさせてもらえることになり、俺たちは面接をした部屋を後にする。

 この後、侍医ミハエルさんだけでなく、他にも王女の治療に当たっている医師数名と、治療方法についてもう少し詳しく打ち合わせをするとのことだった。


 その前に俺たちは、荷物を置きに今夜泊まらせてもらう部屋へと案内してもらう。

 ファランさんとクロエが同室。俺は別に個室を与えられた。


「ふう……。やっと落ち着いたぜ」


 俺は独り言を言いながら荷物を置いてため息をつく。

 朝飯を食べる暇がなかったのと、緊張もあって腹が減ったので、早く昼飯を食わせてもらいたいところだ。だが、その前に荷物を置いたら先に王女との対面だという。

 なんだか急がせるなあ。


 俺は荷物のチェックをしようとしたら、部屋のドアをノックする音がした。


「はーい!」


 準備が遅いって呼びに来られたのかな?まだ部屋に入ったばっかだぞ?

 慌てて俺がドアを開けると、


「あっ?!」


 そこに立っていたのは、何と王太子だった。


「えっと、ロデリック王太子殿下?」


 俺は慌てて名前を思い出すと、王太子はちょっといいかなと部屋の中に入って来た。


「どうしたのでしょうか、王太子殿下……?」


「そんな畏まらなくても大丈夫だよ」


「えっと、じゃあ……ロデリックさん?」


 王太子は笑顔でそう言うので、俺もちょっとくだけることにした。王室の礼儀作法とか分かんないけど、俺大丈夫か?


「カイ殿、先ほどの面談での事なのだが……」


「あ、俺に対しても、もっと砕けてもらってもいいですよ」


「フフッ、そうか」


 王太子は笑った。王太子に失礼かな?ダイジョブだよね?


「ではカイ。さっきの面談での事なんだが、ヴェゼルが失礼な事を言って気分を害させたようですまなかった」


「えっ?それなら俺じゃなくてファラン先生の方に……」


「ファランさんよりもお前の方が怒ってるようだったのでな」


「あれ?俺顔に出てました?」


「思い切りな」


 どうやら堪えていたつもりが、顔には怒り丸出しだったようだ。鈍感なキツネ目ヴェゼルは気付いてないだろうけれど。

 俺は照れ臭くて笑ってごまかした。ロデリック王太子も、俺がそんなに怒ってないと分かるとつられて笑った。

 それにしてもあいつの代わりにわざわざ俺の部屋まで謝りに来るなんて、この王太子は、なんて良い人なんだろう。


「わざわざありがとうございます。俺はもう大丈夫です。先生もそんな事で手を抜くような人じゃないので安心してください」


「そうか。それならよかった」


「あの、そういえば、ちょっと聞いてもいいですか?」


「なんだ?」


「あんまり聞いちゃいけない話なのかもしれませんが。あのヴェゼルって男、王女様の婚約者なんですよね?なんであんな男と婚約してるんですか?」


「やっぱりおかしいと思うか?」


「はい……」


 この国の国王も王妃も、そしてこの王太子も、とても礼儀正しくて良い人柄だ。そんな王家の人たちが、大切な一人娘をなんであんな品性の無い男と婚約させたのか不思議だった。その疑問を尋ねるのは失礼にあたる気もしたが、この人なら怒ったりせず答えてくれるだろうなと思い、素直に疑問をぶつけてみた。

 すると、王太子は素直に答えてくれた。


「実はな、ヴェゼルのいるコーネリウス王国は医療が進んでいる国なのだ。我が国はまだ医療の体系が確立されておらず、お前たちの村では薬草を使った医療が主体のようだが、別の村では病を治すには祈祷を行っていたり、医者自体いない土地も多い。妹が重い病にかかり、国内の医療では対応しきれなくなってしまった時、父がコーネリウス王国に助けを求めた。するとコーネリウス王国は、妹の病気が治ったら王子ヴェゼルと結婚することを条件に、医療援助を引き受けると言って来たのだ」


「交換条件で?」


「ああ。妹は子供のころから国一番の美しさと評判だった。その噂を聞きつけて、そんな条件を出して来たのだろう。父も妹の命の方が大切だと、その条件を飲んだのだ」


「う~、複雑ですね……」


 やはり裏にそんな事情があったのか。それは複雑な気持ちだろうな。国王たちの気持ちが思いやられる。


「ああ。だがそれから約一年、コーネリウス王国の医者たちにも診てもらったのだが、妹の病気は一向に良くなる兆しがない。俺も医療の事はよく分からないのだが、妹はもう助からないのかもわからん……」


 そう言ってロデリック王太子は、悲しい顔をした。

 俺も薄々感じていた。田舎の村まで医者を探しに来たり、それも急いで呼び寄せたり、なんだかとても切羽が詰まっている様子だった。だから王女の容態はよっぽど悪いんじゃないかと。王太子の話を聞くと、やはりそれは間違いなさそうだ。

 だけど、だからと言って簡単に諦めたくない。最初はファランさんの力になりたいと思ってここまで付いてきけれど、王家の人と会ってこの人たちの力にもなりたいと思うようになってきた。だから俺はこの人を励ますために自信をもって答えた。


「大丈夫ですよ。ファラン先生なら助けてくれます!」


 俺は本当はファラン先生の実力を知らない。だけどもしファラン先生が治せなくても、俺が持っているエリクサーを差し出せば治ると思い、そう答えた。


「ありがとう。妹を頼むよ」


「はい!」


「それでは先に妹の部屋に行ってる。邪魔して悪かったな」


「いえ、では後ほど」


 そう言ってロデリック王太子は俺の部屋を出て行った。


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