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Another World 〜【勇者】が愛した仮想世界〜  作者: 明日乃灯
第一章 【勇者】の残光

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第24話 岩の射出者


 「……ッ!まただ、この先に何がいると思う?カルナ」


 何かが壊れるようなそんな大きな音が頻繁にこの森の中に響く。聴覚を用いて、その音の発生源まで走っている俺にとっては、反射的に耳を塞いで顔を顰めてしまうほどの不快なものだった。

 

 『わからない……。この島の生態系を完全に把握はできていないが、これが戦闘の音であり、かなり大きな魔物なのは想像がつく。レベル一のユウキにとってかなり苦戦するほどの魔物ではあるだろうな」

 「……それでも、いくよ。カルナが知りたいんでしょ?」

 『……ふふふ、我はいい相棒を持ったな』


 地面に転がる木の枝を避け、無数に生え並ぶ木の迷路を衝突することなく走る。横から並走して〈超音波〉を発し続けているコウモリのおかげで俺は迷わず走れ、そしてその感覚に慣れ始めていた。

 

 ウサギや虫が、自身が進む方向の反対側に駆けていく。

 動物にとってもそれが危険だとわかっている。

 それでも彼らが逃げてくるその奥へと進む。

 次第にその数が多くなっていくことは、俺がその渦中の災害に近付いているのを意味していた。


 「このあたり、なのかな」


 森の木々が、不自然に倒れ落ちている、開けたエリアに辿り着いた。

 伐採、ではない。

 だが木の株は見えている。

 破裂したかのような衝撃の跡と共に。

 

 『──見えた。あの木のすぐうしろ、何かがいる』


 巨大な何かを知覚した。

 それは木を超えるほどではなかったが、人間の身長軽く三人分、およそ六メートルの生物だった。

 光がないこの景色には、その者の色も様子も見えない。しかし、その生物が二足歩行で、何かを求め彷徨っているようだった。


 「あれは、いったい」

 『まだ、わからんな。近づくぞ』

 

 一歩ずつ、バレたりしないように慎重に近付く。

 その何かは、植物と地面を踏み潰し、進路の邪魔になる木と岩を薙ぎ倒しながら、大きな音を立てて歩いている。

 

 とてつもない緊張感だった。

 溢れ出る強者のオーラ。見つかったらやられるという恐怖。それでもそれを知りたいという好奇心。

 全てがごちゃまぜになりながら、怪物の後ろを歩き、姿が確認できるその瞬間を待ち侘びていた。

 

 俺の視界が狭まってきていた。

 視界といっても、自身の両の眼を使うものではなく、コウモリの〈超音波〉によって広範囲に広がる音の反射を〈反響聴〉で捉えて認識するという方法。

 これはもちろん、時間が経つと残った〈超音波〉の特殊な音は消えていき、その視界が狭まることを意味する。

 

 そのため継続的な〈超音波〉の使用が必要だった。

 このコウモリも俺と同じことを思ったのだろう。

 空間を再び自分のものにするために再び〈超音波〉を使う。

 

 それは、化物と相対してから初めての行動だった。


 「……!!?UGUOOOO!!!!」

 

 化物が、吠えた。


 そして頭の中に警告が鳴り響く。

 

 『ユウキ!そいつを庇え!絶対に殺すな!』


 あまりの迫力に気圧された俺は警告の意味を理解する間もないまま、横に飛行するコウモリを抱きしめて地面に転がった。


 その判断は、正解だった。


 次の瞬間、俺たちが立っていた場所に弾丸のような何かが通り過ぎる。


 それの着地点は立ち並ぶ木の一つ。

 大きな爆発音と共に木は弾け飛び、粉々になった。その場に残ったのは、弾丸を形成していた大きな岩の塊のみだった。


 「!?これは何の攻撃だ……」


 思わず口から漏れ出ていた。

 そうだ、ありえないほどの威力。化物が吠えた瞬間にそれが訪れた。まるでそいつがそれを放ったかのように。あれをまともに受けていたら、即死、だろう。


 『口を閉じろ。あいつは目が見えているわけではない。明らかに音だけに反応して攻撃してきた。再び打ってこないのがその証拠だ。まだ確実にいるとバレたわけではない』


 そうして俺はその指示に従って、こくりと一つ頷き、羽ばたくコウモリもそれを理解できたのか、俺の肩に止まる。

 カルナが続いて説明を始めた。


 『あれは間違いなく、岩山に住む高位の魔物、カタパルトベアードだな。全身が硬い岩に覆われて防御力も高い。しかし、それの特筆すべきところは両腕に備え付けられた、岩の礫を発射する器官にある』


 カタパルトベアード。

 カタパルトとベアー、あれが熊?冗談じゃない。熊のような毛も皮膚も見当たらない。明らかに守りが硬い上にあの威力の砲撃。


 『500年前の世界と生物がそれほど進化していないことを願うが……、あそこまで異形で強いのは規格外だ。確実に何かがあると見ていいな』


 やはりあれは異端のモノなのか。

 しかし、俺はここで初めてカルナが、【魔王】が強いと言ったことに不安になる。

 明らかにレベルが違う。

 俺が突っ込んでも、何人いたとしても、そこには死体の山が転がるだけ。

 それでも……。


 『ユウキはどうする。逃げるか?』

 

 いいや、立ち向かうさ。

 島を出るためにあいつがいたらやりにくい。これは必要なことだから。


 『……ははは!本当に酔狂なやつだ!よし、ならば戦おう!目標は、カタパルトベアードの拘束。ユウキは魔物との戦闘は初めてと言ったな。この我が懇切丁寧にチュートリアルとやらをしてやろう!』



戦闘を書くのは好きです。この辺は拙いですけど頑張って読んでみてください。

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