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4 いざ、最推しと対決!


「じゃあ、よーい……」

 カゼアと拓が睨み合う。それをセズラは見ていた。

(……二人ともいい表情……僕にもそんな時期があったな……)

(不良品なんかにぜってぇ負けねぇ……リスペクト五番目でも強いんだって証明してやる…!)

(やばい…!遠すぎて推しの顔見えないんだけど!?ちょ、ちょっと目を細めて……あ、見えた!やばいカッコかわいい……)

 カゼアと拓のどちらも真剣な表情をしているが、考えていることは全く別な上、拓に関しては勝負について考えていなかった。

 セズラははその二人を見て、ニヤリと笑って言う。

「初め!」

「不良品!俺の強さを見せてやる…!〈エターナルストライク〉!」

 〈エターナルストライク〉ーー時空魔法と剣を組み合わせた技。使用者の魔力量が多ければ多いほど、剣の数も増える。対象が剣に当たると、対象は通常の〇.五倍の速度で行動し、剣は使用者が次の魔法を撃つまで刺さった状態で、刺さっている間魔力が抜け、痛みが発生する。痛みは使用者が怪我をしていればしているほど強くなる。カゼアの場合、魔力量は四二〇。出現している剣の数は二〇本だ。

「殺す…!撃て!」

 二十本の剣は拓に向かって一直線に突っ込んだ。

「よ、避けるっ!」

 拓は地面を蹴り、少し離れた場所に避難し、剣に当たらずに済んだ。剣が地面に当たり煙が舞った。

(前が見えない………カゼア様はこれが狙いだった…?いや、どうだ?単純に狙っていた可能性が高いし、今のは予想外の展開でって感じ…?というか、カゼア様が俺を認識してるって、超絶ウルトラ神展開じゃない?じゃなくて……どこだ?探せ…どこかにいる)

 次の瞬間、拓は後ろから殺気を感じとり、振り返って一歩二歩そこから離れた。すると、拓が元いた位置には剣が一本刺さっていた。

「……ふぅん……不良品のくせに、なかなかやるじゃん?どっかで鍛えた?」

「べ、べべべべ、べつ、べつべつ、べつべつべつに??き、きききた、たたえたここと……鍛えたことないだなんてないなんてこここ、こここっ、こっとんなんて、ななな、にゃいけど?」

「なさそ……才能かよやっぱり……」

 カゼアのさっきが先程の何倍も増していることを、拓は感じた。しかし、推しに殺されると怖気付くこともなく、むしろ少し喜んでいた。

(今……怒ってる…?いや、俺を殺そうとしているってこと!?てことは今のカゼア様の頭の中は俺を殺すってことでいっぱいで……うへへ……死んでもいいかもしれない……で、でもまだまだ……粘ればカゼア様の弟子とかになっちゃって?神展開がさらにランクアップして神神ガチ神展開とか来ちゃったりして!?)

 脳内お花畑の拓をおいて、カゼアは煙の中に身を潜めた。煙は徐々に薄くいなっていくが、中心はまだ濃かった。

(不良品は俺に攻撃してこない……魔法は使えると言っていた……クソが…何も手掛かりがねぇ……家系魔法は何だ?弱点は何だ?そもそも避けることに特化した魔法なのか?考えれば無数に出てくる……攻撃して弱点を見つけるしか……別に、弱点じゃなくても倒せればいいんだ……らしくねぇけど……ゴリ押し戦法か……あの劣等生と同じはごめんだが、今は仕方ねぇ……潰す…!)

「〈エターナルストライク〉!」

 カゼアは先ほどと同じように狙いを定めて撃った。しかし、そこに拓はいなかった。周りを見渡すとキラキラとした目でカゼアを見ている拓と目が合った。

(……殺す!徹底的に殺す…!どうしてそんなのも当てられねぇんだこのチビとか考えてやがる…!ゆるさねぇ……徹底的に殺して身長を奪って奪って奪ってやる…!)

 拓は考えていた。推しについて考えていたが、今は審査中。そもそも推しを崇める以前に、リスペクトに通うことができなければ崇むも何もないではないかと。

(……俺は、リスペクト退塾なんて嫌だ…!(※まだ入ってすらいません)技……俺は何の魔法が使えるんだ…?一体何をすればカゼア様に勝てるんだ…?魔法……あ……)

 拓はゲームした始めの頃を思い出した。拓が最初の設定で選んだ魔法は『音』だった。理由はなんとなく。だから、自分は音魔法を使えるのではないかと考えた。

「〈エターナルストライク〉!」「……っ…〈ディソナンス〉!!」

 〈ディソナンス〉ーー音魔法の中で、振動という部類に入る技。使用者の一番近い人を対象とし、対象は三〇秒間超音波を聞くことになる。その超音波は、魔力量によって高くなる。しかし、使用者も攻撃を受けるため、あまり使われない技である。

 剣が地面にあたり爆発し、中庭は煙で覆われる。

「ガッ……うぐ※……グギッ…ぎ※アっ……あグッ……!!!!」

「ああああ※※※※※※ああああ※※あああああ!!!!!!!

 カゼアはひどい頭痛、腹痛、めまい、吐き気がして、その上脳や肺にダメージが入った。拓は、軽い頭痛、めまい、そして、剣が三つ刺さった状態で、顔面蒼白で意識混濁となっている。

 セズラは防御結界を貼り、影響はなかったが、戦場が一体どうなっているのかが気になって気が気でない。

 二〇秒後、煙が晴れ、セズラが目を凝らして見ると、そこには倒れたカゼアと拓がいた。どちらも所々血が出ていて気絶している。

 セズラは拓に刺さっている剣を抜き、二人を担いで室内へ入った。

(……さて、どうしようかなぁ……カゼアくんとヒロくんは互角ってなったら、ヒロくんをだいぶ警戒しないといけないな。ネネさんには申し訳ないけど、流石にこれは重症すぎるな……特にヒロくんなんて明日も審査あるのに、可哀想……自分が言い始めたことだけど)

 セズラは廊下を走って急いで医務室に行こうと考えたが、二人がさらに悪化したら大変だと考え、少し早歩きで医務室へ向かった。

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