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2話 魔法少女ルナ

 ──『……私の一部』……ね……。


 アッシュは苦笑いのような、嫌悪のような、複雑な感情が入り混じった表情を、無意識に浮かべる。

 

 「ありゃぁ……そんなにショックを受けちゃうなんて……かわいいね!」


 素っ頓狂な事を平気で言う少女──それが今のアッシュの、リシェリに対する評価だった。

 悪気はない。むしろ、本心でアッシュの初心な反応を愛おしいと感じている……そんな恍惚として頬を赤らめている。

 つい先ほど、何度もの死を体験した少女が浮かべるには不釣り合いな表情だ。


 「ははっ……お前、本当に不死身なんだな……。なんかこう……さ? めちゃくちゃ強くて、殺せないほどだーって意味かと……って、最後の一撃はよくわかんなかったし……強いってのも本当なんだろうけどさ……。いや、マジで……どうなってんだよ……」


 「うーん……。ブツブツ喋ってて、よく聞こえないけど……つまり、アッシュも私たちのパーティーに入りたいってことだよね! じゃあ、ついて来てっ! 私たちの拠点に案内するよ! ──って、本当にだいじょうぶ? おーいっ! おーいってば!」


 「──いってぇ! 何しやがる!?」


 赤髪を揺らしながらリシェリが、ボーっと突っ立ったままのアッシュの脛を蹴り上げたのだ。

 アッシュは目尻に涙を浮かべ「いってててぇ……」と脛を擦りながらつぶやき、キッとした目つきでリシェリを睨み付けた。 


 「おっ──!? やっとこっちを見てくれたね! まったく、もう。君ってば、全然まともに私の話を聞かないんだから……!」


 「……ああ、悪い。ちょっと、刺激が強すぎてな……もう平気だ。それで、拠点に案内してくれるんだよな?」


 「うん。ちゃんとついて来てね? 迷子になったら、私が探すから……その場から無理に動いちゃだめだよ? いい──約束ね?」


 「お前は俺の母親かよ……。わかってるよ、ちゃんとついて行くし、迷っても泣き喚いたりしないからさ」


 アッシュは肩を軽く上げてお道化て見せた。

 そんなアッシュの姿に、リシェリは「よろしい」と誇らしげな表情で返し、拠点があるであろう街の地下水道を奥へ奥へと進んでいく。


 「着いたよ──ここが、私たちのパーティー『UN・DEAD』の拠点だ!」


 リシェリが振り返り、視界が開けた先には木造の豪邸、とまではいかないがそれなりに大きな屋敷が建っていた。


 「おお……すげぇな」


 アッシュが感嘆の声を漏らす。

 リシェリはアッシュの反応に誇らしげい胸を張る。控えめな胸の張りが、アッシュの視線を吸いつけた。


 「……なに?」


 いつになく低い声でリシェリが返す。


 「いや──てか、ここどこよ? 俺達、地下に入っていったんだよな? なんでいつの間にか森の中の、しかもこんな開けた場所にいるんだ?」


 「話そらしたね──まぁ、いいけどさ……」


 リシェリが腑に落ちないと言った感じにブツブツと言うが、すぐに切り替えていつものように明るくアッシュの質問に答えてくれた。


 「えっとね~。ここはメンバーの一人の魔法で、あの地下水道から繋げてるの。でも、ちゃんとこの場所に来る許可をもらった誰かと一緒じゃなきゃ来れないんだよ! すごいでしょ!」


 「いや、なんでリシェリが誇らしげなんだよ……」


 「だって──」



 アッシュの目の前を強烈な風が吹き抜け、彼は反射的に腕を上げて顔を守る行動をとる。

 風が止み、アッシュが薄らと腕の間から前を見れば、リシェリとの距離が離れており、彼女の隣には見知らぬ少女が立っていた。



 「──リシェリ……この人は敵?」


 「違うよ、ルナ! 彼は私たちのパーティーの新しい入団希望者だよ!」

 

 「……そう。でも、勝手に結界のこと、話すのはダメ。まだ、カインに許可、もらってない」


 リシェリと親しげに話す彼女は、大きめのとんがり帽子と、黒いぶかぶかのローブを身に纏った、見るからに『魔法使い』って感じの女の子だ。


 「あのー……俺のこと放置して盛り上がるのは……」


 アッシュが二人の会話に割って入ろうと試みるも、残念ながら魔法少女のキッとした一瞥で、成就することはなかった。


 「──こらこら、リシェリもルナも。彼は僕たちの仲間になるかもしれない人なんだから、もっと丁寧に扱ってね」


 優しげな声と、爽やかな見た目の青年が屋敷の方から二人の少女に話しかける。

 物腰の柔らかい佇まい、リシェリとの話し方。それらを元に、アッシュが考えた答え……。



 「お兄ちゃんか!──ぐぇ!?」



 口にした途端にアッシュは、ルナと呼ばれた少女の魔法で後方へ三メートル程吹き飛ばされた。


 そうして、薄れゆく意識の中で声が聞こえる。


 ──あわわわわわ!? ちょっと、ルナ! アッシュ、泡吹いてるよ!?


 ──手加減した……。大丈夫……。



 ──こらこら……って、仕方ないなぁ……。リシェリ、彼をリンダの所に連れて行って、手当てしてもらってくれ。話は……彼が目覚めてからにしよう……。



 そこで、アッシュの意識は完全に途絶えた。

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