第三十四話 見た、来た、勝った
目を覚ます。
あれ?
ベッドだ。それもフカフカの高級感溢れるベッドだ。タブルくらいのサイズは優に越えているだろう。肌触りも格別だ。
そういえば、鑑定してもらった宿からまともなベッドに寝ていなかった。野宿続きは辛かった。一度あの快適さに慣れてしまうと離れるのが辛い。
「いや~やっと起き上がってくれたか。いつまで待たせてくれんたんだ、まったく」
「え!?」
ベッドの側に男が椅子に座っている。
サイドテーブルに頬杖をついてだ。
「あの...どなたですか?」
聞いておどろけ~と前置きして、
「オレはウルフハルト・フォールズ!王国最高の戦士!七聖『疾風のウルフハルト』だ!!!!!!!!!!!!!!」
「...どなた?」
私があっけにとられていると、ちょうどいいタイミングで、
「兄さん!彼女が起きたら呼んでくださいと言ったじゃないですか!」
ランドが大声をあげながら入ってきた。
「え、もしかしなくても...ランドのお兄さん?」
ランドは苦々しいとも苦悶ともいえる表情を作りながら、
「ええ、彼が私の兄で、王の最側近の一人、七聖『疾風のウルフハルト』」
「です...」
言われてみれば鼻筋や目元のあたりがそこはかとなく似ている気がする。が、ランドが優男ってイメージに比べて、ウルフハルトは荒々しい感じだ。
ベーリング海でカニ漁船に乗ってそうな風貌をしている。
なんか疲れてね?あの兄ちゃんだいぶアグレッシブだし...
「そのウルフハルトさんはなぜここにきているんですか?」
カニ漁船男は、
「そらもう、地霊のことよ」
「ちょうど、俺たち七聖の中でも武闘派が出払ってるときに地霊が現れたもんでな、まずは様子を見るために一番足が速いオレが来たってワケだ」
さらに早口でまくし立てる。
「ところがどっこいよお、いざ地霊にいっちょタイマン張ってみようかと思ったらな、もう既に倒されてるワケだ」
「とんでもなかったな、あれは。亀の甲羅が見事に真ん中からかち割られているんだ。あれは並みの魔術師じゃまず出せない威力だ。世界は広いね」
「で、麓にいた兵士から山頂にお前らが残っているって聞いたんで行ってみれば、全員ぶっ倒れているじゃないか」
「そこで地霊を足止めしてた部隊を率いて、全員最寄りの街まで連れてきたってことだ」
「あんたは一番酷かった。身体に傷は無かったが魔力切れが酷い。常人だったら死んでるレベルで魔力値が下がってたんだけどな、運がいいのか分からんが、その様子じゃ生死の淵から見事生還したらしいな」
一瞬硬直してしまった。なんせ速いんだよ、しゃべるのが!英語のヒアリングでこんなん流されたら受験生みんな泣いちゃうよ?
「...兄さんの説明で理解出来ましたか?」
流石にあのマシンガントークをもう一回聞くのは堪える。
「あ...もう大丈夫かな...」
「何はともあれ、地霊は討伐できたってことでいいですか?」
「おー、オレの説明を一発で理解出来たヤツに会うは久々だな」
自覚あったんかい。
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