第一話 「森の中」
ここはどこだろう。さっき天使は荒ぶる森だのなんだの言っていたが。
周りを見てみる。
森だ。見渡す限りの森。日本の森と大差ないかもしれない。富士山麓の樹海をおもいだす。
木漏れ日が目に差し込む。そして、大きな木にツリーハウスがのっかっているのが見えた。
「とりあえず、入ってみるか...」
天使がサービスしてくれたのかもしれないし。
私は階段を上り、ツリーハウスのドアを開ける。するとすぐに木の匂いがした。木というよりは木材の匂いか。
リビング、キッチン、トイレ(昭和のヤツ)寝室。だいたいのものは揃っているようだ。さすがに風呂はなかったが。
しかしトイレがぼっとん式のヤツとは恐れ入った。おそらくこの世界でも糞尿は肥料として作物に与えているのだろう。いちいち汲み取らなければならないのはかなりの精神的苦痛だ。なんで好きこのんで自分のウ◯コを見にゃならんのだ。
文句を言ってもしかたがない。生き返らせてもらっただけありがたいのだから...
裏手にあった倉庫を確認すれば食糧の備蓄もある。余裕で一月を暮らせるくらいには。倹約すれば三ヶ月はもつだろう。
サワサワと水の音も聴こえる。川があるみたい。飲み水にも困らなさそうだ。天使さまさまだね。こんなにサービス精神旺盛な天使に出会えて本当にラッキーだった。
まずは片付けをしよう。かなりホコリが積もっていた。掃除のコツは高いところから低いところへと神奈川のばあちゃんに教わった。
そう思い棚を見ると、本が二冊。雑に置かれている。持ち主は本の表紙が折れても気にならないタイプだったようだ。私の天敵であることは言うまでもない。
ふむ...「基幹魔術教本第11刷」に、
「シエラ王国における、動植物及び、魔物の生態について」か...
なかなか面白そうだ。とくに魔術。
あの天使は魔法が存在するとは言っていたが、こんなに早く遭遇できるとは...
あとでやってみよう。
そして本の題名から推測するにこの場所はシエラ王国というのもしれない。
まさか他国の植生の書かれた書物を持っていてもしようがないだろうし。
また二冊というのも気になる。単に元の持ち主が読書家でなかったか、本が高価な可能性もある。
まあ、それはさておき。
私の悪い癖だけれど本の片付けをすると必ず手が止まってしまう。本の内容がなんであったか気になるんだ。
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掃除中、布切れのかかった家具を見つけた。布を払いのける。
そこに、あどけない顔をした少女が映っていた。
「これ...私...?」
流れる清流のような青い髪。
若草色の瞳。
長い睫毛。
白い肌。
端正な顔立ち。
年齢は12~3歳ぐらいだろう。
コレはアレだ。
二次元の美少女をそのまま形にしたような。そんな印象だ。
なぜだろう...怖い。まるで自分が自分ではなくなってしまったような気分。
...恐ろしくなって、鏡は、クローゼットの奥にしまい込んでしまった...。
いいや。気分を変えよう。
掃除のことなど気にしない。もともと私はそんな殊勝な心がけなんてする人間じゃないんだ...
魔法。まずはそれを試す。
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