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改札口の恋  作者: yukko
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出逢い

もうずっと前の話なのよ。

あの頃、彼女は高校生だったわ。

毎日、電車で通学していたのよね。

いつもの時間に、いつもの電車で……。

その彼女がね。


うん。何?


恋をしたの。


恋? 誰に?


駅の改札口の駅員さんに!


改札口の駅員さん?


そうよ。あの頃は今みたいな改札じゃなかったのね。

人がね。乗るお客さん一人一人の切符に切り目を入れてたの。パチンパチンってね。

そして、降りるお客さんから切符を素早く受け取ってね。

入れる箱にどんどん入れていくのよ。


ええ―――っ! 自動じゃなかったの?


そうよ。自動なんてなかったわ。

人力ね。

でもね、恋も芽生えたのよ。


人力だから?


そうよ。自動だったら芽生えてなかったわ。

彼女はいつもの駅の、いつもの改札で通勤定期券を見せている……その駅員さんに恋をしたの。

片思いだったわ。

高校生が社会人に恋をしたのよ。


どうなったの。


素敵な恋になったのよ。


叶ったのね。


そうね。彼女の想いは叶えられたのよ。

彼に猛アタックしてね。


猛アタック……!


そうよ。振り向いてもらうために必死だったのよ。

本当に必死だったわね。


バレンタインにチョコあげたの?


バレンタインなど無かったのよ。

その頃の日本には……。


じゃあ、どうしたの?

告白、どうしたの?


それはね。手紙!


手紙?


そうよ。受け取って貰えなかったのだけど、最初の頃はね。

でもね、諦めなかったのよ。彼女は……。

半年もすると受け取ってくれて、返事をくれたんですって……。


凄い!

手紙なんか書かないよ。


今はそうよね。

心を込めてペンで書いたのよ。

インクの色も青がいいと聞けば青のインクを買って……可愛いわね。


へぇ~~っ。インクの色で?


そうなのよ。恋が叶うって聞くとね。試すのよ。


返事にはなんて書かれていたの?


最初は「お断り」の手紙だったの。


へぇ―――っ!


それからも何度も駅の改札で渡したのよ。手紙を……。

今ならストーカーよね。


うん。


それでもね。その何度もが恋が叶った一番の理由かしら?

駅員さん、本音はどうだったのかしらね……うふふっ……。

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