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『門』をめぐる戦争と優しい寓話  作者: 実茂 譲
パランテロ先生
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コーヒーの効能

 戦争が進んでいくと、大人の数が激減した。子どもたちの暗殺遂行能力は非常に高く、お互いの組織や団体が敵幹部の殺害を命令すると、まず成功した。その結果が共倒れだった。戦争も最後のほうになると、恐ろしく人殺しに長けた子どもたちの無軌道な殺し合いに堕ちる。サンパウロ焼き討ちの後はその傾向が強かった。ブラジルのサンパウロはかつて世界じゅうのコーヒーの七十パーセントを生産していたが、ブラジル合衆国が債務不履行とクーデターを繰り返して破綻した結果、国民が消えてなくなると、サンパウロ州全土が手入れをされていないコーヒーの木に覆われた。そして、そのコーヒーの木が一日にして燃え尽きる不思議な火事があったのだが(噂では超能力が関係しているらしい)、そのときはラテンアメリカ全体が香ばしいコーヒーの香りに包まれた。大人たちだけでなく、子どもたちまでが何だか幸せな気分になれたくらいだ。大人たちは幸せというものを久しぶりに思い出し、もっと幸せになりたくなり、どうやったら幸せになれるか考えた。その結果、敵を皆殺しにしたら幸せになれるという結論に至った。そして、暗殺指令が全ての組織からほぼ同時に発せられ、大人たちは戦争から消えた。つまり、サンパウロのコーヒーはこの戦争の高級指揮官のほぼ全員を殺害したといっても過言ではないのだ。

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