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『門』をめぐる戦争と優しい寓話  作者: 実茂 譲
パランテロ先生
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夢のなかのパランテロ先生

 リミッター解除の反動で苦しんでいるクラウディオもまたパランテロ先生の夢を見ていた。「あの将軍もそう間違ったことは言ってないのかもしれんね。例えば自己犠牲なんか、今の世界に蘇ったほうがいい気がする。ただし、体に爆弾を巻きつけて大勢の人間を巻き添えにして吹き飛ぶような自己犠牲は嫌だがね。ただ、首都での出世を振り切って、学校のない町で子どもたちに読み書き算数を教えるようなものは歓迎だよ。わしは結局、山に籠って、キャッサバを植えるしかできなかったかもしれないけど、きみたちは若いのだから、もっといろいろできるかもしれない。月並みで悪いが、それでもやはり若いというだけで途方もない可能性が目の前に開けている気がするものなのだ。もちろん可能性が常に愛を伴うとは限らないし、愛から遠ざかることもあり得る。だが、そこに至る過程がどれだけ絶望的でも最後には結局、愛に行きつくのだ。そして、そこに行くまでに味わった絶望がひどければひどいほど、愛に至ったときに見えるものは素晴らしいものとなる。本当に素晴らしい世界は絶望したものたちのためにあるのだ」

「おれみたいな兵士にも?」

「言っただろう? 永遠や愛は途方もない絶望を体験したもののためにあるのだ」

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