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#37 趣味回:食事編 採れたてビーンズのチリコンカン

 リバース村の畑で採れたビーンズと野菜などを並べて、俺はアリアナと共に台所で作業をしている。

 アリアナが言うには、今回収穫できたビーンズは『マジカルビーンズ』と『ラックビーンズ』だそうだ。


 各種ビーンズはその名の通り、食べると能力値が大きく向上するアイテムだ。

 今、魔法を特訓している身としては、魔力の上がるマジカルビーンズが採れたことは大変ありがたい。


 しかも、もっと時間がかかると思っていたので、こんなに早く収穫できるとは露ほどにも思っていなかった。

 本当に、アリアナには感謝が尽きない。


「私、思うんですけど、植物ってこちらが気をかければかけるほど、応えてくれるっていうか、輝きが増していくっていうか。それがもうたまらなく愛おしいんですよね」


 水で洗い土を落としたビーンズを見て、うっとりした表情で言うアリアナ。

 彼女の愛情をいっぱい受けて育ったビーンズは、確かに言う通り宝石のような光沢を身にまとっている。


「ふーむ、植物を趣味にするのもいいかもしれない」

「ぜひぜひ。私、色々とお教えしますので」

「そのときはぜひ頼むよ」


 趣味がまた一つ増えそうな予感を抱いた俺であった。


「さて、それじゃはじめるとしようか」

「はい」


 アリアナとうなずき合ってから、俺は各種野菜をみじん切りにしていく。

 今回はビーンズを活かした料理『チリコンカン』を作る。


 このチリコンカンという料理は、地域によっては学校給食などでも出される豆とひき肉で作られる料理だ。

 ミートソースのようなペースト状で、これをバゲットやクラッカーに塗って食べる。ちなみにスパイスを効かせた味なので、かなりビールに合う。


 うぅ、もう今から喉が鳴る。


 そうしている間にも、手際の良いアリアナがどんどん具材を刻んでいく。

 おっと、俺も負けていられない。


「お肉も刃物で叩いてから炒めるんですよね?」

「そうそう」


 きちんと確認を取ってから、アリアナは鍋で肉を炒めはじめる。うーん、一緒に炒めているニンニクのいい香りがしてくる。

 レシピは事前に共有しているが、俺独自のものなので俺しかわからないのが難点ではある。


「次は野菜を投入」

「はーい」


 次はみじん切りしたオニオンを加え、さらに炒めていく。火が通ったら、赤ワインとトマトを入れて煮込む。

 そこにビーンズを投入。あとは底が焦げないようにしながらじっくり煮込んでいき、最後に塩コショウ、スパイス類で味付けして完成だ。


「楽しみですね」

「ああ、待ち遠しい」


 ぐつぐつと煮込まれている大鍋を見ている間、俺はよだれが出っぱなしだった。


◇◇◇


「それじゃ、一足先にいただいちゃおう」

「はい!」


 数十分後。

 台所の作業台で、俺とアリアナは完成したチリコンカンの味見を兼ねて、二人だけで晩酌を開始するところだった。


 他の村人たちは各自作業に出ており、今日は俺とアリアナが料理当番だったのだった。まぁ、だからこその特権であると言えた。


 というかこんなにいい匂いをさせている出来立てのチリコンカンを我慢できるわけない!


「アリアナはワインかい?」

「ええ、せっかくの出来立てなので」


 かく言うアリアナも、俺に合わせて飲んでくれるみたいだ。嬉しそうな表情がなんとも愛らしい。

 うーむ、のん兵衛の素養、大である。


「それじゃ……乾杯」

「乾杯」


 二人それぞれ飲み物が入った“容器”を、こつんとぶつける。

 なんと、今日は飲み物の入れ物も特製だ。


「くぅ、このアイスジョッキ、最っ高だなぁ!」


 そう、氷属性の魔法で『氷のジョッキ』を作ってみたのだ。

 キンキンに冷えたシュワシュワが、喉を滑走するように胃の腑に流れ落ちていく。


 んんんたまらない!


「うぅん、このワイングラスもいいです! キリっと冷えて、すごく飲みやすい!」


 一方アリアナは、細長い氷のワイングラスで嗜んでいる。

 グラスの持ち方が上品で、すごく様になっているなぁ。


「よし、じゃあチリコンカンを」


 言い、俺は準備していたバゲッドを手に取る。

 そして木製スプーンでチリコンカンをこれでもかと塗りたくる。


「どれどれ……んん!」


 サク、というバゲットの軽やかな食感のあと。

 じゅわ、と口の中にチリコンカンのスパイシーな風味が広がる。


 う、美味い!


「ここにすかさず……っぐ、んぐ……ぷっはぁぁ! 美味い!!」


 このたまらない三連撃を音にするなら、サク、じゅわ、ごきゅーんという感じ。


 うん、俺、もはやこの音なしでは生きていけない。


「はぁ。本当、最高ですね」

「ああ、最っ高だ……」


 俺とアリアナは台所で二人、料理当番の特権を満喫させてもらった。

 みんなの分、ちゃんと取っておかないと……。


 この夜、俺とアリアナは村のみんなに「メインが少ない!」と怒られましたとさ。


:【体力】が上昇しました

:【魔力】が超大幅に上昇しました

:【筋力】が上昇しました

:【精神力】が上昇しました

:【運】が超大幅に上昇しました

:【魔導士】と【猟師】の職に同時に就き一定日数が経過しました

└【上位:魔法狩猟師】の職業素養を獲得しました

:【一般パッシブスキル『植物知識』】を獲得しました


貴重なお時間をこの作品に使ってくださり、ありがとうございます。

読者の皆様の応援が書く力になっています!

更新がんばります!

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