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#13 村の拠点、できる

 魔属国家ジ・アポンにて、難敵ケルベロスを討伐した数日後。


 俺は毎朝の日課と、黒柴の『クロエ』とのお散歩を終え、村の中心部に集まったところだった。作業を担当してくれている方々も集合している。

 ちなみになぜクロエという名前にしたかと言うと、黒柴でメスだったので、女の子っぽい名前ということでこれに決まった。結構気に入っている。


「これがここの拠点になるんだな」


 中心部には、一つの大きな家が建った。

 これが、この村における拠点となり、主に俺が使う家となる場所だ。


 家を囲むように集まった俺たちは、立派な外観を見ながら感嘆していた。足元にいるクロエも、嬉しそうに尻尾を振っている。


「壮観ですね」


 隣にいたアリアナが、完成した家屋を見て、言う。彼女の頬にはどろがついており、畑仕事に精を出してくれているのがわかる。

 俺自身、この家を建てるのを手伝っていたからなのか、こうして眺めているだけで、とにかく喜ばしい気持ちになる。


「当たり前だろ、ウチも手伝ってんだから!」

「だな。ありがとう」


 同じく家を眺めていたルルリラも、すごく嬉しそうに胸を張って言う。


 彼女は今日まで、大工仕事を中心に動いてくれていた。

 大工の皆さんと協力し、技術を吸収しながら成長し、時には意見をぶつけ合いながら、こうして一つの建物を完成させるまで、粘り強く仕事をやり遂げてくれた。

 その顔からは、充実感が漂っている。


「じゃあ、中を見てみようか」


 中は広々とした広間があり、暖炉やかまどもある。調理した料理をみんなで食事できるよう、近くには長テーブルも置いてある。

 俺の自室は扉で区切ってもらっているが、基本的にはこの広間で過ごすことになりそうだ。


「はやくここで、みんなで食事したいですね」

「俺も今ちょうどそう思っていたよ」


 隣で朗らかに笑うアリアナが、なんとも可憐である。

 それにしても、こんなに立派な家屋なのにもかかわらず、クロエの犬小屋だけは俺の自作なせいで、こぢんまりしてしまっている。


「ワン、ワオン!」

「おぉ、よしよしクロエ。これでも喜んでくれるか。ありがとうな」


 にもかかわらずクロエは、千切れんばかりにしっぽを振って小屋に入って行く。

 あぁ、犬って本当に可愛い。


 こんなに素直に俺に懐いてくれるんだもの。


「はぁ、それにしても本当に、村らしくなってきたよな」

「だね。まったく、最初はどうなることかと思ったけどなー」


 外に出て、もう一度家屋を見上げる。

 本当に、荒れ地の状態からここまで来たのだ。

 協力してくれたみんなに、本当に感謝だ。これからまだまだ、発展させていかなければならないが、このひと段落を今は喜びたい。


「レオンさん。ひとまずおめでとうございます」

「ウィルさん、ありがとうございます。ここまで順調に来れたのは、本国から来た皆さんを上手くまとめてくれたあなたのおかげです」


 と、そこで声をかけてくれたのは、派遣された労働者十数名のリーダーをしてくれているウィルさんだ。

 彼はギルドの有力者なのだが、今回は王様から直々の頼みを受け、こうして今日まで村の発展に寄与してくれていた。


「そう言ってもらえて嬉しいです。ただ、私どもの契約期間はあと数日で終了になってしまいます」

「寂しいですね……」


 わかってはいたことだが、改めて口にされると寂しさがある。

 彼らとは、何日も汗水たらして共に働き、夜は美味いメシを肴に、盃を酌み交わしたのだから。


「私の仕事を引き継いでもらうために、レオンさんの秘書となるような方をスカウトしてはいかがでしょう?」


 ウィルさんは、そんな提案をしてくれる。

 確かに今日までウィルさんは、俺が頭の中で描いていた家のイメージや、今後の村の発展の方向性などを、実際に手を動かしてくれる人たちの間に立ち、すり合わせをしながら具体化していってくれた。それはまさに、秘書のような立ち回りだった。


 彼がいなかったら、こんなに順調に発展することはなかっただろう。


「秘書、か」


 俺は思考を巡らせ、秘書のようなポジションに相応しいスカウトキャラクターを思い出してみる。

 ……うーん、これが『街づくり』における『町長の選定』なんだとしたら、実際のゲームで町長のポジションに就く『街づくりに野望を燃やすおじさん』をスカウトすればいいんだろけど……この現実世界でここを発展させるのは、俺の仕事だ。


 そう考えると、町長ではなく俺をサポートしてくれる、それこそ本当の秘書のような人をスカウトするべきだよな。

 そうすることで、様々な部分でフォローしてもらえる体制を整えれば、自ずと発展して自走していく……という風に考えられる。


 自宅ができたということは、今後はここを離れて街人となってもらえる人を各所でスカウトしなければならないという側面もあるわけだし。


 よし、まずは急いで秘書をスカウトするとしよう。



:【体力】が上昇しました

:【筋力】が上昇しました

:【知力】が上昇しました

:【精神力】が上昇しました

:【運】が上昇しました

:【放蕩者】の職業熟練度が上昇しました

:【猟師】の職業熟練度が上昇しました

:【食通】の職業熟練度が上昇しました

:【食通のパッシブスキル『みんなで食事』】を獲得しました

貴重なお時間をこの作品に使ってくださり、ありがとうございます。

続きが気になる、おもしろかった場合など、ぜひブックマークや★★★★★をいただけると作者、大変よろこびます!


読者の皆様の応援が書く力になっています!

更新がんばります!

よろしくお願いします!!

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