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私達の向かう先には

少し、ふざけて作ってしまったかもしれません…


家族…

それは個々の家族で大きく違う。


円満家族。クールな家族。パリピな家族。友達みたいな家族。昭和みたいな家族。華麗なる家族…。


皆が皆そういう家族ではないけど、今の私の家族はとても雰囲気が悪い気がする。


「いや、私とお母様は仲がいいのよ。問題はお母様とお父様とお兄様よね〜。」


お母様に買ってもらった白いウサギのぬいぐるみを抱っこしながら独り言を言う。白いのに目はサファイアブルー。洋服は紳士服で、ハットは穴が2つ空いていて耳が出ている。水色のスカーフが何ともカッコいいイケメンウサギだ。そう私は前世からイケメンが好きなのだ。


このぬいぐるみは

我が家に呼んだ商会から買ったものだ。


「アナはお母様と同じ髪色だから、お揃いのドレスも楽しそうね!これなんかも良さそう。うふふ。やっぱり娘との買い物って楽しいわ〜」とご機嫌なお母様。


そこに、呼んだ商会の1人が私に近づいてくる。「アナスタシアお嬢様。今日は奥様のご要望で こちらをご用意致しました。」


そう言うと、商会の人が白いウサギのぬいぐるみを目の前に出した。


「ふふふ…気に入った?貴女のお気に入りの絵本に出てくるウサギをぬいぐるみにしてもらったの。」


私のことをよく知っているお母様。私の喜びそうな事を考えてくれるお母様。私はお母様が大好きだ。

私もお母様を喜ばせたいし、お母様を笑顔にしたい。


でも、お母様が向けるお兄様への温度は違う。なにかしこりの様なものがあるような、そんな感じがする。


なんでだろうか…

私が直接聞いても駄目だろうし。

これは…



✜✜✜✜


一階の北に位置する所に、洗濯をする部屋がある。

メイド達がキャッキャウフフと笑いながら、泡のついた洗濯物を足で踏んでいる。

「今日は天気がいいから、大物のカーテンが良く乾きそうね!雲一つ無いからぽかぽかね!」

「あぁ~!そしたら、テーブルクロスも後で洗っちゃいません?明日明後日いつ雨になるか分からないですし。」

一番若いメイドがすかさず提案する。

「そうね!そうと決まれば急ぐわよ!!」


活気に満ち溢れる職場はいい職場〜。私は自分の屋敷の職場環境の良さに嬉しくなった。っていやいや!違う!


私は偵察に来たのだ!

洗濯物の山々の後ろに隙を見て入り込み、私は洗濯メイドの話を盗み聞きしている。


…にしても、王都の流行しているドレスやお菓子から事件事故。貴族のスキャンダルに旦那の悪口から子どもの悩みまで。留まる事を知らない。かれこれ2時間はここにいるのだが…


私はここで何をしてるんだろう…

このままだと洗濯物と一体化してしまいそうだ。

目的の話が全然来ない。


「そう言えばさ…奥様は大丈夫かしら?」

話の流れが変わった。キターーー!!

「大丈夫ではないでしょうが!まったく旦那様はなにしてるんだが…宰相で仕事の鬼の完璧主義!冷徹公爵様も、奥様の事になると優柔不断というか、ビビリっていうか、ポンコツっていうか…」


何がだろう?

「なにしてってなんですか?」

一番若いメイドが質問する。


「あぁっ、貴女は3年目だものね…

早い話が、旦那様と奥様が話し合って欲しいって事よ。旦那様は誰が見ても奥様を愛しているわ。でも奥様はお気づきではないし、そもそも最初が肝心なのに出だしから良くなかったのよ。

旦那様と奥様は普通の婚姻ではなかったのよ」


普通ではない婚姻?

「普通ではない婚姻って?」3年目のメイドが質問した。

私、3年目の子とは話が合いそうだわ。名前チェックしとこう。


「略奪婚だったのよ」

「りゃくだつこん?!ど•ど•どういう事ですか?」

3年目メイドがどもる。

あのお父様が?略奪婚を?!


「なんでも奥様には元々幼少期からの婚約者がいたのよ。なのに旦那様が卒業パーティーで奥様と…」

と、そこでバタバタと足音が聞こえ、メイド達が振り返った。


メイド長が慌てた様子で「貴女達!!今やっている作業を止めてちょうだい!!」と話す。


「何かあったのですか?」とベテランのメイドが聞く。


「お嬢様が随分前からいないのよ!お部屋にもお庭にも。今、皆で探し回っているわ!誘拐の可能性もあるから、領土の道も封鎖する予定よ!私達は屋敷中を捜しまわりましょう!」


「何処にもいないのですか!?そんな…

こりゃ、大変だわ!!」

皆が洗濯室の中も確認していないことが分かると、各自散っていった。


「ヤバイヤバイ…道を封鎖って…かなりの甚大なご迷惑を」

バサバサと洗濯物の山から這い出る。

でも、「ここでーす」と洗濯物から出てくる公爵令嬢は無しだよね。

最初に合った人にすぐ声をかけよう!すぐ行くぞすぐ!


私は走った!走って走って、そして見つけた!!

3年目メイドを!


「他のベテランメイド達も並行して走るがぐんぐんぐんぐん差が開く!差が開く!3年目メイド独走かーーー?!!私も続くが追いつかない!恐るべしルーキー!!


しかーし、そこで突っ込んできたのが我が専属メイドのメアリー! メアリーが突っ込んでくる!メアリーが突っ込んでくる!いいぞ!いいぞ!メアリー!!

どこまで追いつくか!!その目は前しか見ていない!!


おっと、ダークホース現る!!ダークホースが来たぞ!!遅れて我が最強騎士団達が迫ってきたーーー!!

これは予想外!!!これは予想外です!!

どうなる!?どうなるのかーーー!!


最終カーブを周り、おーとそこで、ベテランメイド達がカーブを曲がりきれずコースアウトーーー!!

日頃から床をつるつるに磨いていたことが原因かー?!

メアリーはベテランメイドの倒れているエリアを可憐なジャンプで回避している!!私も回避したが恐るべき運動神経!!


あとから騎士団も続く!!果たしてだれが優勝するのか!!ついに直線だ!!ついに直線が来たーーー!!!


3年目メイドが!!メアリーが!!騎士団達がぐんぐんぐんぐん加速していくーーーー!!


テープを切ったのは…!!!!

3年目メイドだーーーー!!

優勝ーーー!!!!」


エントランスで皆が拍手をする。「おめでとう!!エリー!!」ベテランメイド達が涙する。私も涙…。

お母様がおめでとうと持っていた花束をエリーに渡す。

再びの拍手。そして紙吹雪がエントランスに舞った。

この場所が感動で満たされていく。


「……………………………なにこれ………?なにやってるの?」

用事から帰ってきたお兄様が1人つぶやくが、皆感動でそれどころではなかった。


その後私は全力ダッシュと大声の謎の実況という淑女として問われる行動のせいで皆からお説教をされた。

洗濯物の山から這い出た方がマシだったかもしれない…。

ちっ!皆楽しんでたくせに!!



「一番いい所を聞きそびれちゃったな〜。でも…

いい事思いついちゃった〜!3年目メイドはエリーって言うのね。ぐふふ」おっと、絶世美少女がゲスな顔をしてしまったわ☆



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