エピローグ3〜女神様方!秒で何かするのは難しいです!〜
のんびりコツコツ書いてます。
『ごめんなさい。』突然ウツリーネ様が私に謝罪した。
『もう、私の力もこれまでです…』
私が顔を上げると…
ウツリーネ様が砕けていった。パラパラ…とガラス細工が粉々になるように崩れていくウツリーネ様。
「えっ…」
私は何を見ているの?
『ごめんなさい。貴女には謝ってばかりですね。頼ってごめんなさい。でも、私にはどうすることもできなかった。私はこのまま砕け散ります。この神殿ごと…』
「はいっ?!ウツリーネ様はどうなるんですか?わ、わ、わ私は?」
『10秒以内にここから逃げてください。私は…いなくなります。さようなら』
ガシャン、ガシャン。ドーン、パラパラ。
様々な破壊の音。
辺りを右左と見ても、ここにはもういられないと分かる。
「に、に、逃げなきゃ」
何が起きてるのは全然分からない。早くここから立ち去らなければ…
とにかく走った。走って走って、息を吸うのも忘れるほどに走り抜いた。
そして、落ちた…
「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ、死ぬぅぅぅ!!なんで床が抜けんの〜!いやあーーー、あ、あれ?」
落ちてるんだけど…、浮遊感は最初だけで、その後は体が空気に包まれている感覚で抵抗がない。
体が安定している。スカイダイビングはやったことないけど、こんな感じなのかな?
「っって!今そんな事考えてる場合じゃなーーい!!」
バタバタするけど、何処にも掴むものがない!
当たり前か!だって上空だもの。
口に空気が入って暴れている!息が!息が!!
「1回死んだのに!死んだのにぃぃ、また死ぬってことぉぉ?!何で呼んだんだよ!うつさまぁぁぁ(怒)」
その時…
辺りが一瞬明るくなった。
明るくなった方を向くと、何かが光る物が四方に散っていくのが見えた。
『お願い。私と世界を救って。その為に、私の分身を探して』
「分身ですかぁぁぁぁ?どうして!?どうやって?!!」
『きっと、貴女なら感じるはず。』
どんどん声が小さくなって聞き取りづらい。
「ウツリーネ様!どんどん声聞こえなく…」
『だって貴女の…は私…おな……だから。』
声が被った!
「ウツリーネ様、ごめんなさい!もう一回!もう一回言って下さい!!」
『探して。8つあるから』
それからすぐにウツリーネ様の声は聞こえなくなった。
「あ――――――っ、まさか大事な情報を自分の声で掻き消してしまうなんて…ってか、8つってどんだけ分裂したんだよ!詰んだ。詰んだわ。何をすれば…何からすれば…、そもそもこの状況をどうすれば…」
自分の落ち度に落ち込んで、上空を落ちていく。ハハ
ふっと周りを見渡してみる。ウツリーネ様の世界を。
「綺麗…」
朝日が登っている。青と黄色、オレンジと一つの空に様々な色が混ざり合い、光が輝いている。
海はどこまでも続き、私よりも下にある雲は綿菓子のように柔らかそうに見える。
陸は山々が聳え、緑が広がる。
豊かな自然が作り出すその…
『む〜すーめ〜〜!!娘!娘!』
この世界をウツリーネ様は守ろうとして…『おい!聞こえているか!返事をしろ〜!!おい!』
「はい。すいません。どなたですか?」
感傷に浸るのを妨害されて、白けた気持ちを切り替えて、声の方へ顔を向けるとそこには…
2匹の白い何かが猛スピードで近づいて来ていた。
アレなんて言う魚だっけ?
あー、私の娘が行った深海水族館のお土産でもらったな。
リュウグウノツカイか…
うねうねと動きながら、口を大きく開けて私に向かってきているリュウグウノツカイ…✕2。
全長10メートル以上ある!!
そして犬や鳥などの愛嬌は感じられない食物連鎖がよく似合う顔!
「ひぃ~〜〜!!!食われるぅぅぅ!!嫌だぁぁぁ」
『魂など食わぬわ!馬鹿者が!我は神の使いぞ?!それよりも、ウツリーネ様の気配が変なのじゃ!!まるでバラバラになったかのように分かれて感じるのだ!おぬしなにか知っているか?そなたがウツリーネ様から釣り上げられた魂なのは分かっておるぞ!』
「何も知らないんですか?ウツリーネ様は誰にも相談してないってことですか?」
『だからなにがあったのか知りたいのじゃ!そもそも我等などにウツリーネ様がご相談などするわけがあるまい。』
リュウグウノツカイが悲しそう(私視点では)に話した。
『お師匠様、落ち着いて下さい。』
イケボのリュウグウノツカイが言った。
リュウグウノツカイがイケボって何?!!
動揺を落ち着かせ2匹に事情を説明する。
「ウツリーネ様は、私に分身を探してと言っていました。8つあるって。」
それを聞いて、リュウグウノツカイ達がハッとした(私視点の見方)。
『やはりそうご決断を…』
イケボが言った。
何回聞いてもイケボはイケボなのだな。
そんな事を考えていると、イケボなリュウグウノツカイが顔を青褪めはじめた(私視点の見方では)。
『まずいです!貴女様は何も変わってないではないですか!転生の用意が何一つ終わってないで何でここにおられるのですか!』
「はぇ?」
お師匠様のリュウグウノツカイも慌て始めた。
『お主!時間がない。もう時間がないぞ!何をどうしたい?!!10秒以内に述べよ!!』
「何をどうしたいって例えばどんな事を!」
『神と人との境界が近い。もう時間切れだ。』
リュウグウノツカイ達が速度を下げて空中で止まった。
何か、神と人との境界があるようだ。
そして、私はそのまま落下している
はっ!早く要望を伝えないと!!転生後の人生に大きく関わる!えーい!なんでも良いから色々いっとけっ〜~!
「お金持ち!権力と地位!あとチート!あと!あとあと!」
どんどんリュウグウノツカイ達が見えなくなってる。
「あと…かぁおぉぉぉぉ!!!!」
リュウグウノツカイ達がまるで哀れな人を見るような顔(私視点)で大きく頷き、『相分かったぁぁ』といい仕事をする前の顔をしていた。
そうして私は、内村七緒から新たに
アナスタシア•フィルレーツェとして
公爵令嬢の長女になり
権力と地位、そしてお金持ちを手に入れた!
ありがとうございます!リュウグウノツカイ様達!!
でも、10秒って難しいわ!