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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

現代ダンジョンは賭場を開く。

作者: 吉都 五日

時は1999年。

世界には恐怖の大王は降ってこなかったが、代わりにダンジョンが産まれた。


ダンジョン様の天下になり、愚劣な人間(ヒトカス)どもはその支配下に置かれる…かと思いきや。

人間はその強力な火器を使い、あるいはレベルアップして競ってダンジョンを攻略し…異世界からの侵略者たるダンジョン(穴ぽこ)は人間様の配下になり。

細々と生き延びるしかなくなってしまったのだ。




んーで俺は元人間のダンジョンマスター。

名前は…今の名前は891961だ。


『おはよう891961。景気どうだい?』

『547さんおはようございます。景気なんて良いと思います?今月も魔石ばっかり取ってかれましたよ。この世界碌なもんじゃねえっすよ。誰だ魔法が無いから楽勝で侵略できるとか言ってたやつ』

『それ179598だろ。あいつ10万台のくせに調子に乗りやがって…』

『どうなったんすかそいつ?』

『どうもこうも。こっちの世界に一番乗りして人間殺しまくってなんか訳わかんねー威力の爆弾落とされてダンジョンもコアも、勿論マスターも全部吹っ飛ばされたぜ』

『ひええ…』



それたぶん核爆弾でもぶち込まれたんだな。

どんな範囲魔法も、多人数での合唱魔法も、勿論神の力を借りた神聖魔法やドラゴンのブレスより、はるかにこの魔力の無い世界の火器は強力だ。

何だよE=mv²って?速さの二乗で強力になるって意味が分かんねえっての!


『まあお前の所は良いじゃねえの。寝てても収入有るもんな。あの…』

『カジノです。ダンジョンカジノ、略してダンカジ。ギャンブルはみんな好きですからね』

『そうそうそれそれ。上手いこと考えたよなあ。』

『まあ長い事人間に紛れてましたから』

『それが出来るってのが人間型の強みだよな。まあ俺は酒飲んで寝てるのが一番幸せさ』

『547さんに言われてもなあ…おやすみなさいっす』


俺たちは笑いながら別れた。

さあて本業の時間だ。



『どーも、バクチ狂いです。今日のねらい目は末尾7の台、末尾7の台が狙い目となっております。皆さん頑張って出しちゃってくださいね~』


そんな訳で俺はダンジョン経営に戻った。

この世界ではダンジョンは立場が弱い。

目を$マークにしてダンジョンに襲い来る人間ども。

こいつ等をあっさり殺すことはできなくもない。


だが、そうするとムキになって人間どもは襲い掛かってくる。

1人殺すと10人が、10人殺すと100人が襲い掛かってくるのだ。

そして偉大なるダンジョンマスターの先代たちは人間どもの数の暴力に、あるいは近代兵器の恐るべき威力の前に何も出来ずに死んでいった。


という訳で俺は闇カジノを開くことにした。

とはいえ只のカジノのならゆっくりして行ってくれない。

つーわけでこのカジノのメインはパチンコ屋さんだ。

ダンジョンパチンコ、略してダンパチ?



「いよっしゃあああ!大当たりいいい!」

『おめでとうございますおめでとうございます。5階層927番台のお客様スーパーフィーバーです。赤中魔石100個をまずゲットです。さあさあお待ちかね、この後確率変動です。頑張ってください!』


227番台のオッサン冒険者が1/5000を引き当てて超大当たりを出した。

このオッサンは昨日も一昨日も全ツッパで負けまくっていたオッサンだ。

今日の分で何とか首を吊らずにすんだって所か。良かった良かった。

俺もちょっとほっとしたわ。


「いよおおし!」

『おめでとうございますおめでとうございます。3階層463番台、フィーバースタートです。』

「お!」

『おめでとうございますおめでとうございます。1階層29番台、フィーバースタートです。』

「やった!」

『おめでとうございますおめでとうございます。2階層307番台、スーパーフィーバースタートです。』

「うおおお!連きたああ!」

『おめでとうございますおめでとうございます。5階層927番台のお客様スーパーフィーバーの連荘です。追加で青中魔石100個をゲットです。さあ、この後もまだまだ確率変動です。頑張ってください!』


今日のお客さんは500人以上入った。

その500人分からダンジョンはエネルギーを吸収し、代わりに当たった者に魔石を放出する。


冒険者には出来るだけ長くダンジョン内に居座らせると沢山の魔力を吸収できる。

そして赤字にならない程度にアイテムを放出する必要がある。


ダンジョンは長らくそれをモンスターとの戦い、探索とドロップアイテムという形でやっていたが、俺は前世の知識を生かしてここでギャンブルをさせることにした。

しかも長く滞在する必要のあるギャンブル…パ○ンコ屋さんだ。


尤も、一番高レートの所はは地上にあるのよりは酷い。

一日1000万使って1億を得るか、0になるかという戦いを強いるのだ。


…でまあ、そんな高レートばっかりじゃお客さんは入らない。

というわけで4パチ、2パチ、1パチに0.5パチとあるように。


1階層はほぼ遊びで打つようなレート。

勝っても負けてもメシが一品増えればいいほうというレートだ。


そして深層に行けば行くほどレートが高く、またパチンコ以外にもルーレットやブラックジャック、バカラなどのカジノを代表するおまけにコア前の特別にはお大尽でも痺れるようなレートまで用意してある。

…ってなわけで。


『で、どうするんです?まだやるんすか?』

「儂を誰だと思っておる。もう半荘で取り返すぞ!レートは一気に10倍だ!!」

『大丈夫ですか?この辺で帰った方が良いのでは?』

「ダンジョンのくせにこのを亜火木を馬鹿にするか!」

『僕はそんなつもりは無いんですけどね。皆さん宜しいですか?』

「ミーはオッケーでーす」

「儂も構わんよ」

『がはは、盛り上がってきたのう!』

『では同卓のギブソンさんと、陳さんと8010さんの賛同を得られたので続けます。』


今日は面倒ごともある。

5000番台のパイセンが卓貸してって言うから「ハイ!」って返事したらこれだよ。

アメリカのギブソンさんと中国の陳さんが喧嘩するための卓かと思ったら亜火木なんちゃらさんがひたすら負けてる。こりゃ酷い戦いやで。


今の所ギブさんが+4000億、陳さんが+1900億、8010さんが+1200億で…つまり亜火木さんは7000億ほど負けているわけだ…


んで、俺は何をしているかというと観戦しているだけ。

特に何もしない。

俺はこの賭場を開くにあたり、いろんな所に面通しをしている。

そして決してイカサマをしない事をダンジョンの神様に誓っているのだ。



「ロン、マンガン」「俺もロン、タンヤオイーペードラ2」

『儂もだ。トリロン有りじゃったな。がはは。いよいよ後が無いのう』

「ぐぬぬ…」


この対局何のためにやってんのかは知らないけど何だか嫌な雰囲気だなあ。

早く終わってくんねえかなあ。


そう油断したのが悪かったのか。


『お、927番台また当たってる。ちょっと失礼』

『おめでとうございますおめでとうございます。5階層927番台のお客様スーパーフィーバーの連荘です。追加で金中魔石100個をゲットです。さあ、この後もまだまだ確率変動です。ジャンジャンバリバリお出しください!』



あのおっちゃん3連チャンだよ。

これで完全に捲ったな。

フロアアナウンスに気をとられる。


その次の瞬間だ。


「お、おいこれを見ろ」

「なんだ?」

「オープンリーチ…か?いや!」

『嘘だろ?地和(アガ)ってやがる!おまけに大三元字一色だと!おい、バクチ狂い!テメエサマしやがったのか!』

『してないっすよ!俺が何もするわけないでしょ。だからココ態々使ったんじゃないんすか?』


今のレートで役満ご祝儀は…2兆、地和大三元字一色のトリプル役満で6兆だ。

やべえ。


『ご祝儀6兆円っすね。清算しますか?』


俺は敢えて機械的に言う。

でも俺は知ってる。

これはすり替えだ。


ログを見たらスリ替えをしている。

俺が一瞬席を立って、アナウンスした瞬間。

割と古典的な袖に仕込んでセットしてある配をダーっと強引にすり替える技。


それまでどうしようもなかった配牌が大三元字一色聴牌、東西待ちの形に。

そして東ツモで無事地和も成立、いやあすごい早業だ。

ツモったところはカメラですら確認できない。

どうやってすり替えたんだ。

ログを見たからどうやったか分かるが、俺の目じゃ見てても分かんないだろう。

ぱないのう。


「ぶち殺すぞJAPが!」

「この犬野郎、舐めた真似しやがって!」

『人族は下品だな…魔石払いで。手持ちがないから分割でもいいか?』

「結構ですよ」


陳さんとギブさんはブチ切れだ。

でもこういうのは現場を抑えなきゃダメだって決まってんの。


「おい、コイツを殺せ!」

「こいつ等・だ、全員皆殺しにしろ!」


武装した兵がなだれ込んでくる。

あーあ、またこうなっちゃうのかあ。


『ここで暴れる人は退場させまーす』

「ハッ!やってみろよギャンブルの管理しかできねえ能無しコアが!」

『じゃあご遠慮なく。いってらっしゃーい』


「ギャオオオン!」


ウチの最高戦力はレッドドラゴンのレーラ君。

まだまだ子供っぽい可愛い竜である。


二人の時なんか甘えんぼして喉がゴロゴロ言ってんの。

たまんね~


「ひっひえええ!」

「こ、こんな聞いてないぞ!」

『俺は知ってたぞ。素直に払った方が良い』

「がおー」


レーラくんは楽しそうに銃を持つ兵を踏みつぶした。

うんうん、寝起きだから暴れたいんだな。


「ぎゃおお~ん♪」


続けて火を吐いた。

なかなかいい感じのブレスである。

彼もここの魔力を吸い続けてどんどん成長している。

生まれたての時はあんなにかわいかったのになあ(卵


でもやめて欲しい。

ここ掃除するの俺なんだけど。

血もがいっぱいなのもやーやーなの!なんだけど、知らない人ののいろんな汁とか茶色いナニカとかそういうのを吸収するの嫌なんだけどなあ…


「ひっ!払う!払うから!」

「アイヤー!払うアル払うアルナイアル!」


こうして亜火木さんは大金を手に入れた。

一部は場代としてここに置いて行ってくれるらしい。

ええ人やで。またのお越しを~



読んでいただいてありがとうございます


↓は今連載中の作品です。

リヒタール内政戦記

https://ncode.syosetu.com/n5002hp/


よければ読んでください。



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誤字報告もよろしくお願いします。助かります。


17:57 

後ろに削除予定だった文章が残ってたので証拠隠滅してお尻ふきふきしました。

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