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なろうラジオ大賞3

ゾンビパニック世界で学園ラブコメ映画を撮りたい

掲載日:2021/12/19

 残念なことに、世界は崩壊してしまいました。

 ゾンビウイルスに侵されてしまったのです。




「うおおおおおお!」


 学校の校門に横付けしたトラック。

 荷台に設置した機関銃を乱射して、迫りくるゾンビたちをハチの巣にする男。


『東門からも来るぞ!』


 無線が入った。


「畜生、きりがねぇぞ」

「なぁ……だいたいなんカットくらい撮り終えたんだ?」

「せいぜい、序盤のあたりくらいじゃねぇか?」

「マジかよ……」


 トラックの運転手は頭を抱える。


 現在、廃校にてラブコメ映画の撮影中。

 俳優たちが校舎の中で撮影を行う間、ゾンビを撃退するのが彼らの仕事。


「くたばれゾンビどもおおお!」


 鉄条網を乗り越えようとしたゾンビたちを、火炎放射器で薙ぎ払っていくモヒカンの男。


「はっはぁ! どんどん来な!」


 クレーン車から吊り下げられた足場に乗って、弓でゾンビを射抜く女。


「この死にぞこないどもがああああああ!」


 丸太を持って暴れる男。


「本当に心強い仲間たちだな」

「ああ、俺もお前を頼りにしてるぜ!」


 トラックを走らせ、ゾンビの群れに突っ込んでいく。


 こんな愉快な仲間たちが戦っている間、校舎の中では……。




「ダメ……もうサトルのことなんて信じられないよ!」

「待てよ! サオリ!」


 長い廊下を学生服を来た男女が追いかけっこする。


「カットカット!」

「え? 今の演技、ダメでしたか?」

「セリフあってたと思いますけど……」

「違う、違う! 音だよ、音!」

「「あー」」


 外から聞こえる騒がしい音。

 爆発、銃声、叫び声。


 どれも学園ラブコメには似つかわしくない。


「もっと静かにやってくれよなぁ。

 いつも注意してるのにさぁ」

「私の出番かな?」


 全身をプロテクターで固め、日本刀をわきに刺した男が尋ねる。


「先生はゾンビが校内に侵入した時の切り札。

 もしもの時はお願いします」

「うむ、任されよ」



 じりりりりりりり!



 火災報知器が鳴り響く。


『校内にゾンビ侵入! 校内にゾンビ侵入!』

「くそっ、言ってる傍から!」


 プロテクターの男は全力でゾンビの討伐へ向かった。


「あの……撮影は?」

「続行だ! 音なんてどうでもいい!

 さっさと続きをとるぞ!」

「「はい!」」


 こうして学園ラブコメの撮影は続けられた。

 出来上がった作品には雑音が入りまくっていたが、たいそう評判が良かったという。




 文明が滅び、ゾンビが占領した世界。

 地獄のような世界で映画を撮る者たちがいる。


 彼らが戦い続ける限り、人々は希望を失わずに生きていけるだろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは好きな世界観(*´ω`*) [一言] とてもほのぼのして良かったです!
[良い点] ゾンビがわらわらきてるのに、意外と映画撮る余裕があるんだwww 凄く良いです。人生に娯楽がないと味気ないもの! 校門のところで食い止めている人達が強者感しか無いんですけど、校内にゾンビが…
[良い点] うん。この現実のほうが映画みたい(笑)
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