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破壊と創造の神ゼヌス7

ゼヌスにお姫様抱っこをされたまま、食堂へと向かう廊下を進む。その道すがら、濃厚に絡み合う主従カップルを何組も見かける。


間違いなく、この世界はゼヌスの淫らな陰謀により歪められている。


それとなく隣を歩くエルナンドお兄様を見る。屋敷ではザックを従えているお兄様だけど、学園にはザックはいない。原則、学園の敷居を跨げるのは教員と生徒のみ。そう決められている。


主従の愛を繰り広げているのは、主人のみならず従者もまた王都学園の生徒である場合のみ。


であるからして、エルナンドお兄様とザックの愛の営みを見ることはできない。ちょっぴり残念ではあるけれど、私は本来、エルナンドお兄様とゼヌスの、ドS・クールビューティー貴公子が超ドS・魔法使いに不本意ながらも組み敷かれ、ヒイヒイ泣いてしまう。そんな鬼畜プレイの方が好みなんです。


まぁ、ゼヌスは私の執事であり。お兄様と主従関係にあるわけじゃないので、この2人の愛の営みを見ることは叶わないのですが…


実に残念。芸術品のように美しいお兄様の、あーんな姿や、こーんな姿をかぶり席で鑑賞したい!そんな下劣な妄想をしている内に、食堂にたどり着いた。






「はい、アーシュ。あーん」


学園の食堂の一角。ゼヌスの膝の上にだっこされて座る私に、ご機嫌なエルナンドお兄様が、にこやかな笑みを浮かべて、手でちぎったパンを私の口に向けて差し出した。


え?『あーん』って、普通はスプーンやフォークから食べるものじゃない?手から?麗しのエルナンドお兄様の手から直接食べろって言うの?


ゼヌスにだっこされ続けているだけでも、ガシガシと羞恥心が削られてゆくのに、ダイレクトにエルナンドお兄様の指にかぶりつけと?あ、いや、正確には指の隙間からはみ出しているパンにかぶり付けばいいだけなのだけど…


戸惑うように、エルナンドお兄様を見る。お兄様のご機嫌をうかがうように、ついつい上目使いになることはご容赦願いたい。


エルナンドお兄様のことは好きだけど、ヤンデレを通りすぎ、病みに病みまくったヤンデレ・バッドエンドを迎えたくないと言う、本能から来る恐怖心が、自然と私を上目使いにさせるのだ。




「食べなさい、アーシュ」


恐る恐るエルナンドお兄様を見上げた私に、笑顔を緩めること無く命じるお兄様。声のトーンが怖いです。


冷気を纏うお兄様に逆らえず、口を開けてパクリとパンを咥えた。お兄様の指に触れないように、細心の注意をはらったにも関わらず、唇がお兄様の指先に触れてしまう。


「あっ」


ビクンと震えて、慌ててお兄様から離れる。見なくても、自分の顔が耳まで真っ赤なのが分かる。恥ずかしすぎて両手で顔を覆って見悶えると、


「羞恥に震えるアーシュも、食べたいくらいに可愛いよ」


お兄様は、満足そうに私の唇が触れた指に自身の下を這わせてペロッと舐めた。赤い舌がやけに艶かしい。俯いたままの私の耳をお兄様が甘噛みする。耳から伝わった熱に、ビクッとからだが跳ねた。


「いっそ食べてしまおうか?」




お兄様、お兄様とゼヌスのRで淫らな妄想をした、その罰ですか?公衆の面前で、いくらなんでも羞恥プレイが過ぎます。


「アシュレイは初心だな」


私を膝に乗せたまま、後ろから私のうなじに顔を埋めるゼヌス。


「その男が前からアシュレイを食べるなら、私は後ろからアシュレイを食べるとしよう」


低い声でくつくつと笑うゼヌスに、甘い声を出す余裕もなく「ひっ」と本気で引き攣った。


誰か、この状況から助けてください!

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