主と従
おはようございます。外ではチュンチュンとことりさんが可愛く鳴いています。煩悩に穢れたアシュレイちゃんを捧げます( ノ;_ _)ノ
「美神も霞む程の美しさ。目も眩むほどの魂の輝き。我が主として申し分ない」
うっとりと微笑む大魔法使い。流石は裏設定でエロ担当を引き受けていただけのことはある。間近で見る大魔法使いの放つ色香は、尋常じゃなくやばかった。
喉がひくひくとして変な悲鳴が漏れそうになるのを、悪役令嬢としての意地と根性でどうにか耐える。気を張っていないと、鼻血が垂れてしまいそうです。
ふわりと揺れる濃紫の髪。冷徹な光を称えた赤い目がうっとりと見つめる。薄い唇が弧を描き、どこか酷薄な笑みを浮かべる。眩暈がする程に色めいた豊香を、惜しげもなく大放出する大魔法使い。
死の危険すら感じるほどの美しさに至近距離で射抜かれて、耐えられなくて目を閉じる。
危ない。こんなところで永遠の眠りについてしまうかと思った。本気で殺しにかかってるよ、この人!
目の前の色男に絆されてしまいそうになったのを、寸でのとこで回避する。目を閉じたことを『拒絶』と勘違いした大魔法使いが、強く私の両手を握った。
「私では不服か?この従属の契約は、無効化の魔法でも消せぬ。お前を守り、骨の髄まで愛でることを誓おう、アシュレイ」
目の前に立つ大魔法使いは、私の腰に腕を回してぐいっと引き寄せた。
「心だけではなく、身体も思う存分蕩かせよう。これからが楽しみだ」
「アシュレイ姫に触れるな!」
ランセル殿下が叫びながら、抜刀して大魔法使いに斬りかかった。鼻息荒く、肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す麗しのランセル姫。呼吸が乱れ、頬が真っ赤に染まっている。
「それ以上、アシュレイ姫に淫らなことをするのは許さない!」
ランセル殿下の剣を華麗に避けた大魔法使いは、私の身体から手を放すとランセル殿下に襲いかかった。
「目障りな羽虫めが!」
床の上に倒れるランセル殿下。その上に大魔法使いが馬乗りになり、王子の瑞々しくて滑らかな頬に触れ、耳元に顔を埋めて囁いた。
「じゃじゃ馬な王子には躾が必要だな」
腹のそこに響く低音。乱れた髪、真っ赤な顔で、悔しさで顔を歪めて見上げるランセル殿下。殿下の、まだ少年っぽさが抜けない細い腰を、大魔法使いが無駄に撫で回す。
この光景は、待ち望んだ裏設定!同人誌ネタではありませんか!興奮のあまり、おかしな笑い声を上げそうになるのを、咄嗟にうつむいて両手で口を抑える。
「怖かったかい、アーシュ?可哀想に。肩が震えているよ」
大魔法使いがランセル殿下を組み敷くのを、うつむき、髪の毛の隙間から覗き見て、また身悶えて震える。を繰り返してると、色々と勘違いなさったエルナンドお兄様が近づき、私の肩を優しく抱いて慰めてくれた。
俗世に汚れきった、ゲスな妹でごめんなさい。そんな最低な妹は、お兄様と大魔法使いの絡みも大好きなんです。
「それ以上はやめろ。流石にこの国の第一皇子が大魔法使いに貞操を奪われたとあっては色々と問題だからな」
これからが濡れ場の際骨頂。と言うところでソルトが止めにかかった。
貴方こそやめなさい!私(腐女子)の楽しみを奪うことは許しません!うつむいた髪の隙間から、がんっとソルトを睨む。
消えてしまえ、ソルト!!
うっかりと無効化の魔法を発動して、ソルトの存在そのものを抹消してしまいそうになったとき、腹の底をくすぐるような低音が耳を貫いた。
「ふっ、3人が望みか?いいだろう」
さ ん に ん。大魔法使いとランセル殿下とソルトの3人
え?ええ?誰が攻めで誰が受け?大魔法使いは攻め確定として。ランセル殿下は当然受け。問題はソルトね。奴は攻めも受けもいけるハイブリッド。けど今回の場合は大魔法使いと共に2人で殿下を攻めに攻め立てるパターンが王道かしら。
脳内で、高画質の生々しい想像を繰り広げた結果、無様にも膝から崩れ落ちてしまった。




