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そして神殿へ2

封印が解けかかった大魔法使い。辛うじて彼の封印が完全に解けていないのは、エルナンドお兄様、ランセル殿下、ソルトの3人が封印の魔力を閉じ込めた柘榴石を身に付けているから。


彼らが柘榴石を通して、大魔法使いに魔力を注ぎ続けているからだ。


今、私が魔法で助力することはできない。無効化の魔法を発動すれば、封魔の力まで消してしまう。


今の私にできることは何?


小説の中みたいに、私が大魔法使いと従属契約を結ぶことが出来れば、大魔法使いの封印が解けたとしても、彼が大暴れすることはない。けれど、それは避けたい。私は、小説の中のアシュレイみたいに我儘三昧に大魔法使いをこき使い、世界の半分を消す。なんてことをするつもりは毛頭ないけど、未来補正が上手くいかなければ、何かしらの理由で、私の命令によって大魔法使いが世界を半壊させる。かもしれない。


けれどリードの外れた狂犬のごとく、牙を剥いて吠えまくる大魔法使いを野放しにするのは危険すぎる。


ならば…


大魔法使いと対峙する3人の見目麗しい青年たちを見る。


ここからは本編ではなく、同人誌のストーリーの流れをなぞるべきではないだろうか?


そう。エルナンドお兄様、ランセル殿下、ソルトの内のいずれかと従属契約を結ぶ。それが一番平穏な未来に繋がる正しい道なのではないか?


では考えよう。誰と従属契約を結ぶのが良いだろうか?


オーソドックスな受けと攻めの組合せ。俺様で押しの強い大魔法使いにお姫様なランセル殿下?


それともひねくれた心を解きほぐし、全てを包んで組み敷くS×隠れMのカップリング。ソルト?


いやいや。ここはやはりSで攻めのお兄様をドSで強固な攻めである大魔法使いが懐柔して溺愛して、ウハウハでエロエロな愛を紡ぐ、エルナンドお兄様が大本命ではないでしょうか?!


あ、言っておきますが、


同人誌のカップリングの話ではないですよ?


あくまでも従属契約を結ぶ際に、誰が主になるべきか?の話です。下心なんて微塵もありません。


ホントウですよ?






「従属の契約を結べというのか?そうすれば、この忌まわしい封印を解除すると?」


「そうだ。国王陛下からも封印解除の正式な許可をいただいている」


私がゲスな煩悩と戦っている間に、大魔法使いが従属契約を結ぶ流れになっていた。大魔法使いが頷き、一歩前に踏み出した。


「従属契約を結ぶことに同意しよう。だが『主』は我が選ぶ」


そう言って、『主』の前で跪く大魔法使い。彼が選んだ『主』は、


「アシュレイ・エル・ハートランド。我はソナタを『主』と認め、従属契約を結ぶ。我は裏切らぬ。我は守る。主の命令は覆らぬ。命を懸けて守ることを誓う。『主』が我の命」


大魔法使いが腰を浮かせて、私の額に口づけ、手の甲にくちづけ、爪先に口付けた。大魔法使いの魔力が体内に流れ込み、鎖が繋がるみたいに私の魔力と絡み合って結ばれるのを感じた。


動揺する心を抑え。裏返りそうになる声を気合いで乗り越え、小説の中のアシュレイの台詞を口にする。


「『従』となることを許そう」


赤い唇で弧を描くように微笑みながら、脳内で頭を抱えて地団駄を踏む。




『主』は私じゃダメなんだってば!!

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