3-6. 女装!!
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商店街の服屋と雑貨屋で必要な物をを買う。1人でこの一式を買うといかにも今から女装しますという感じになってしまうのでメアリと兄貴を伴ってあたかもメアリの買い物に付き合っている体で済ませる。
馬車に戻り皆に一度外に出てもらい中で着替える。馬車は狭く全員が乗っている状態では着替えなんかできなかった。そしてランとメアリの前で半裸を晒すわけにもいかない。
地毛に近い黒髪のウィッグに違和感なく固定するためにカチューシャをして白色の襟に水色の布地の半袖ワンピを着て白い靴下に黒い革靴を履いて完了である。
ランから借りた手鏡で確認すると違和感なく着こなせている。中性的な顔立ちでよかった。きっとスタンツやポルトは女装に向かないがヒューイットは向いていると思う。
「着替え終わったから皆中に入っていいよ」
扉を開けて皆を招き入れる。
「着替えたはいいもののどこに行けば攫われるかな?」
「ファナって子が攫われた所には既に憲兵隊がうろついてんだろ?そこら辺にはヤツらは現れねぇ。出来れば人目につかず、だけど人通りがある程度はある所で待ち構えてるはずだぜ」
「確かに外周エリアは憲兵隊でいっぱいだったからそれ以外の場所の方が可能性は高いよね。高級住宅街か商店街、一般住宅街の中で一通りがある程度あって子供を攫いやすい場所─」
「グリム、商店街だ。ほら、あそこは?宿屋を通り過ぎた武器屋の近くのあの路地」
スタンツが遠慮がちに兄貴とガランの方を見る。彼が言っているのは僕らが攫われたあの路地のことだ。白昼堂々僕らは攫われて誰も助けてはくれなかった。人攫いが現れるには絶好の場所だ。
「確かにいいかもしれない。昼間でさえ助けが入らないんだ。夜ならさらに隠れやすいだろう。あそこならここから歩いて行った方がいいな。さっきも言ったけど3人は馬車で待ってて。メアリと兄貴は少し離れたところに居て僕が犯人を捕まえたのを確認したらこっちに来て」
「わかったよ。気をつけてね、グリム君」
「坊主、無理はすんなよ。まぁ坊主なら大丈夫だろうが何が起こるかわかんねぇからな」
「うん、ありがとう。じゃあ行ってきます」
何かを言いたげにしかし言葉を飲み込んだのか口を結んでランが手を振る。