2-54. 受け売り!!
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「僕がジークに教わったのは相手から見える面積を減らせってことと利き手、もしくは利き足が後ろになるようにってことかな。こう半身になると相手から狙える部分が少なくなるんだ。でも顔はきちんと相手の方を見とくといいらしいよ」
翌日。約束通りスタンツに体術を教えている。
「利き手、利き足が後ろに来るようにっていうのは攻撃するときに少しでも出処をわからなくするためらしいよ。足は肩幅くらい開いて顎くらいの高さに手を持ってくる。顎を引いて相手を見る感じで基本の構えは完成だよ」
「こんな感じか?」
スタンツが僕に言われた通りの構えを取る。中々様になっている。というより僕より強そう。
「あとは魔法攻撃に気をつけろって。手の向きなんかを注視しときつつ全体も見ろって言ってたよ」
スタンツは無効化が使えないので魔法を警戒しなければいけない。
僕は無効化能力があるから相手の手をそこまで気にする必要はないが間接的に使われたら無効化は意味がないのでやはり気をつけなければいけない。
「中々難しいな」
「うん毎日修行して身につくものなんだと思う。攻撃の練習もしたかったしスタンツが教えてって言ってくれて本当に嬉しいよ。ジークは逃げるが勝ちって言ってたけどね。一応僕は体力をつけようと思ってジークが王都に戻ってからは毎日走ってはいるんだけど」
「まぁお前が捕まったら大変だからな。そりゃジークさんは立場上逃げろって言うだろ」
「それでも攻撃方法も一応教えてくれたよ。まず攻撃場所は体の中心部に一本線を引いたところが大体急所で攻撃するなら硬い所でするといいって。ジークの靴は特別な金属製だったよ。僕らがするなら肘膝や拳なんか骨の部分で攻撃するといいんだってさ。ただ僕らはまだ子供だから骨で攻撃してもやっぱり柔らかいし大人相手には逃げろだって」
全てジークの受け売りで僕の身についてないのでまだ断言出来ない。スタンツが構えを取ったまま空に拳を打つ。
「あんまり使う機会がないといいな」
「そうだね。でも僕は使う機会がなくてもある程度使えるようにはなっとかないといけないと思うんだよね」
「まぁグリムはそうだよな。オレもついでに覚えるか。相手出来るしな。学園戻って1人で修行出来ないしな」
そう言ってニシシと笑う。
久しぶりに見たその笑顔になんだかホッとする。