表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/240

2-53. 本気のおもてなし!!

 

 □□□□□□□□


「今日はねデザートもちょっと頑張ってみたの」


 ここ数日間で一番手強いディナーと戦い終わり少しお腹に空きがあるのでデザートがあるのは有難い。僕は結局サモサとサラダとパンを食べて過ごした。


「シャーベットを作ったの。レモンとオレンジとプラムとマスカットがあるからね」


「夏にシャーベットって初めて食べます」


 この世界では暑い時期の氷は貴重である。冷蔵庫が存在しないので冬の間に氷室で貯蔵された氷を夏に使うため量が少なく貴重なのだ。シャーベットは調理過程で氷を使うことになりこの時期に出てくるのは贅沢品なのである。

 通りで今日はテーブルにデザートが並んでいないと思った。母はスタンツの歓迎に本気である。自分の友達を母親がもてなしてくれようとしているのを見るのは嬉しいことだ。

 小さめに盛られたシャーベットは色鮮やかで見た目も綺麗である。


「どれも美味しいです。すごく料理が上手なんですね。グリムが羨ましいな」


「ありがとう。いつでも遊びに来てね。おばさん頑張って料理作るから」


「ありがとうございます。来られるときにお邪魔させてくださいね」


 お世辞かもしれないけど気に入ってくれたみたいでほっとした。


「あ、美味しい」


 スタンツの反応を見て僕もシャーベットを口にする。久々に食べるシャーベットは口の中でスっと溶けてとても美味しかった。これならお世辞じゃないと思う。


 妹たちも夢中で美味しそうに食べている。


「シャーベットがあんな風に作るなんて私知らなかったですわ」


 作る瞬間を見ていないがこの時期に作るなら氷と塩を使うんだろう。前世で理科の実験でやったな。

 僕らは基本料理が出てくるのを待っているだけだからランが調理方法を知らないのはしょうがない。


「おばさまのおかげでここ数日だけでも料理が上手になりましたわ。いつかグリムにお世辞抜きで美味しいと言わせてみせますわ」


 バレている。


「そんなことないよ。美味しいよ」


「昨日よりはとか食べられる程度にはっていう言葉が前につくのはわかっていますわよ」


 ジト目で言われる。


「いいんですの。私腕を上げてみせますわ」


 ランの奥でスタンツが笑顔でシャーベットを食べている。彼がこの会話を聞いて笑っていると思うのは邪推だろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ