2-50. 優雅!!
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「ベッド1つしかないけどいい?」
2人で僕の部屋へと入る。
「いいよ別に。寮ではベッド別だけどこのベッドの方が2つ合わせても大きいし2人で寝てもスペース余りそうだしな」
「よかった。この部屋にベッド運び込めたけどスタンツならそう言うかなって思って運ばなかったんだ」
もし嫌だと言われたらゲストルームからベッドを1つ運ぶ予定だった。サイコキネシスでちょちょいと運べるが恐らく僕は運ばず使用人の皆が運んでくれただろう。
「それにしてもグリムの部屋も広いな」
一体何畳あるのか僕も把握していない。しかし無駄に広いということは認めよう。
勉強机、ベッド、本棚、テーブル、ソファ。それらが配置されているにも関わらずスペースはまだ余っている。
「妹たちの部屋はさらに広いよ。元々2つの部屋を1つにしたからね」
「こんなに広くても持て余さないか?」
「持て余してるよ。でもスペースに余裕があるのも優雅さの現れなんだってさ。僕には理解できないけどそういうものらしいよ」
まぁ子供には優雅とか理解できないよね。僕としては狭い部屋も好きだがこの家にはそんな部屋は存在しない。
「普段のグリムを見ていると忘れるけどやっぱお前王族なんだな。優雅さとか求められたことないぞ」
「出来ればそのまま忘れておいてくれると助かる。僕も優雅さは求められても出せないよ」
「そうだよな。言っちゃ悪いけどお前なんでだか庶民的だもんな」
前世では庶民だったからね。今世も人と接することが少なくて尊大になりようがない。学園に入るまで僕が接するのは五大家の人々と使用人しかいなかった。
アズニエル家で雇っている使用人は大概が貴族で彼らに対して尊大になるとトラブルの種になるのは明白だったので丁寧に接するしかない。使用人の中には街の住人ももちろん居るが悪評を広めたくないので彼らにも丁寧に接する。いつかは街でも友達が出来たらいいなと思っているのでそれまでに評判を落としたくないのだ。
優雅さは出せないが傲慢さがないならそれだけで十分だ。
「そう思ってくれているなら嬉しいよ」
他の皆にもそう見えていると嬉しい。地元じゃ友達ができないから学園でいっぱい友達作ると決めている。庶民的ってことは親しみやすいってことだもんね。