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幕間2

 

 □□□□□□□□


「今日はミリムもリリムも王都には来ていませんの?」


「2人はまだ小さいからね。長時間の馬車移動には向いてないし領地の方に会いに来てあげてよ」


「そうですわね。確かにあの距離を馬車で移動するには小さな子供には辛いかもしれませんわね」


 2歳しか変わらないのに彼女はそう言う。


「仲良さそうに喋ってるね」


「ごきげんよう、アーデおじさま。ご挨拶が遅くなり申し訳ございません」


 後ろから声をかけられたのに即座に反応して一礼する。


「お久しぶりです、アーデおじさま。ご挨拶が遅れ大変失礼しました」


 僕も彼女に倣って挨拶と一礼をする。


「そんなに堅くならないで。私たちは親戚なんだから。それに王都に来てもらっているのはこちらの都合だからね。私は王都から出ることはあまりないからね」


「それは仕方のないことですわ。こうしてアーデおじさまに会うために王都に来ることに私は何の不満もありませんわ」


「僕もです」


「2人ともいい子に育ったね。仲がいいみたいだしいっそ婚約でもしちゃう?」


「いいえ、アーデおじさま。お気持ちは有難いのですが私、強制されて仕方なく自分と結婚するしかないと相手に思われるのはイヤですわ。まだ若いですし相手の方にぜひと言って頂けるような自分に成長してみせますわ」


 ナチュラルに婚約を拒否られた。年も近く将来は一緒になるんだろうなとぼんやりと思っていたのに。


「うん、わかったよ。君の意見を尊重しよう」


 アーデおじさまはあっさりと彼女の意見を尊重することに決めた。

 彼女の意見を参考にするならば彼女と婚約したければ僕は男を上げるべきなんだろう。

 彼女は非常に魅力的な容姿の持ち主だが如何せん幼すぎる。9歳女児に婚約を迫る程見境なくはない。10年後なら間違いなく土下座ものだが現在はとても可愛く綺麗な9歳というだけである。


「もうすぐ学園生活も始まるしよかったら私のところにも会いに来てね」


「残念ながら学園の理念上そう頻繁にはお訪ね出来そうもありませんわ。しかしながら機会がありましたら伺いますわ」


「父のところに遊びに行くことがあったら寄りますね」


「暇なおじさんをたまには構ってね」


「お忙しいのは存じ上げておりますわ」


「君たちと会う時間くらいはあるよ。困ったこととがあったら頼ってくれてもいいし」


 最強の印籠である。最強過ぎて使い所がない。


「そのお気持ちだけで十分です。身分の上下なく過ごす学園生活に少しくらいの不便はつきものでしょうし自分の力で乗り切ってみようと思います」


「そっか。2人ともまともな感性の持ち主だよね。クラウスとパウロが羨ましいよ」


「お褒めいただき光栄ですわ」


「そのまま成長することを祈っているよ」


 そう言ってアーデおじさまことアーデベルト・ツィー・シャルノットは去っていく。

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