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2-34. 魔力じゃない、体力だ!!

 

 □□□□□□□□


 毎日のようにジークと特訓しては妹たちと遊んで日に日に体力がついてきていることを自覚する。僕に足りないのは魔力じゃない、体力だったんだ。


 いつの間にか1週間が経ち父とジークが帰る日となった。

 父が母や妹たちと別れを惜しんでいる中僕はジークとの別れを惜しむ。


「ジーク、1週間みっちり特訓してくれてありがとうね。僕のせいでせっかくの休日を潰させてしまってごめん。お陰様でちょっとだけ強くなれた気がするよ」


「いえいえ、グリーム様。こちらこそ暇な休日に彩りを加えてくださいまして誠に有難うございました。この老いぼれ充実した休日を過ごさせて頂きました。上達が早く教えている方と致しましても楽しゅうございました」


 執事として正しい返答をくれた。

 結局僕は体術のみではジークに攻撃を当てることは出来なかったがその代わりジークがあらゆる場面を想定して攻撃を仕掛けてきてくれた。無効化やギフトを持っていようが対戦相手次第では簡単に負けてしまうということも学べた。

 ジークにはとても感謝している。予め知っている場面なら対処できることもあるだろう。


 父が母と妹との抱擁を終え僕のところにやってくるとジークは馬車の扉へと向かう。


「ジーク、本当にありがとうね」


 こちらに一礼し扉を開け馬車の横で父を待っている。


「グリム、パパとお別れのぎゅーっしよ」


 この男、これでこの国のNo.2である。五大家にも家格があり初代王を輩出したアズニエル家が五大家筆頭である。アズニエル家に真っ当な男子が居たら第一王位継承者となる。

 25年前王が崩御したとき彼は5歳だったので他家から王が選出されたが万が一今崩御すれば父が即位することになる。尤も現王は歳若く即位したので少なくとも暫くは父が王になることはないだろう。


 少し呆れながらも父と抱擁しちょっと長いのでもう離してほしいと背中をトントンする。


「お父様、また王都でお会いしましょう」


 そう言って手を振ると寂しそうではあったものの漸く帰る気になったらしい。父と王都で会う気はあまりないのだがリップサービスも必要だろう。


「そうだよね。グリムとは王都でも会えるもんね」


 家族との別れを名残り惜しそうに馬車へと向かう。この間もジークは一言も発さず微動だにせずに待っていた。

 父が馬車へ乗り込むとジークも乗り込む。

 馬車の扉が閉まり動き出して門へと向かう。走り去っていく馬車に手を振りながらも門を(くぐ)るまで見送った。

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