2-29. 特別製の靴!!
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翌日。ブラック労働かはあまり考えないようにしてジークに特訓をしてもらう。
「私の体術は風魔法の応用なのでございます。体術と風魔法を併用し威力を倍増させております」
そうだったのか。ワイバーンと対峙したときを思い出してみれば確かに8〜10m級のワイバーンの高さまでジャンプしていたのは知っている。風魔法を使ったんだろうということも推察できた。
「この前ジャンプした時に使っていたよね?」
「それ以外にも蹴りを入れる方向とは逆向きに風魔法を使用することにより蹴りの威力を上げております」
喋っている最中にジークがしゃがみ履いているズボンの裾を少し持ち上げる。
「そして私、特別製の靴を履いておりましてこれにより威力が出やすくなっております」
ジークがしゃがんだので僕もしゃがんでまじまじと靴を見る。硬そうな靴だなとは思っていたが手を伸ばし触らせてもらうと金属製だった。この靴を履いているのにジークの足音はうるさくない。
「確かにこれで蹴られたら風魔法で威力を上げてなくても痛そうだね」
「グリーム様はまだ成長途中で足のサイズも変わりますのでもし特注するのであれば爪先と踵のみに工夫をされるとよいかもしれませんな。私がお教えする体術も基本は防御になります。魔法攻撃は防御可能なようなので物理攻撃の防御を可能にすればグリーム様は負けることがなくなります」
無敗というとかっこいいが勝つ手段もほしいところではある。
「あとできるだけ逃げるが勝ちだとお思いくださいませ。グリーム様はまだ子供で大人相手に逃げることは何ら恥ずかしいことではございません」
言っていることは理解できるのだが逃げなきゃいけない相手にいまのところ遭遇したことがない。
「例えば私が相手だったら如何致しますか?」
「逃げます」
まるで僕が考えていることがバレたかのような質問。
「それはグリーム様が私を知っているからですな?何も知らなければこんな年寄り相手に逃げることもないでしょう」
にっこりと老練な笑顔を見せる。
いやこんなにも熟達な雰囲気の老紳士を侮る選択肢は僕にはない。体力的な意味で子供と老人でいい勝負ができるのだとしたらどう見ても経験値で負けている。しかし反論はしないでおく。
「誰が相手でも基本は逃げるが勝ちだということをお忘れなきようお願いします。戦わなければ負けないのですから」
ワイバーンに向かっていった人が何か言っている。まぁジークの立場上向かっていくのは正しい判断だろうけど。




