5. 爽やかな朝、僕の完璧なる妹!!
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起きて、朝だよ。遠くから聞こえてくる。
遅刻するよ。
その声が聞こえてきてパチッと目を開く。
あれ?ここどこだ。いつもとは違う天井。そもそも僕の部屋のベッドには天蓋がついているから天井は見えない。
顔を横に向けるとスタンツが居た。
「おはよう。グリム」
あー、そういえば昨日から初等部に入学してここは寮なんだった。
よく考えたら僕って自力で起きたことないや。
前世ではスマホのアラームがそれでも無理なら母親が起こしてくれたし今世では使用人が毎朝起こしてくれたし。
今日もスタンツに起こされた。
「おはよう。スタンツ」
昨日は結局荷解きや寮の案内なんかで疲れて寝ちゃったんだよね。
ベッドに座りながら机の方に向く。
「おはよう。ミリムにリリム」
昨日見事にさらりと右側のベッドをスタンツに占領された僕は左側の机の上に飾ってある愛すべき妹たちに朝の挨拶を済ませる。
ランが完璧なるお嬢様ならミリムとリリムは僕にとって完璧なる妹なのだ。
2人が描かれた写実的な絵を手に取って白い服白い帽子を被り少し暗めの母に似たオレンジの髪をなびかせながら笑顔で描かれている2人の絵を眺める。僕父に似て黒に近い髪色であまり前世と外見に差異がない。
お家に帰りたい。
僕の可愛い妹が今ここにいないだと。毎日会うにはあと2年も我慢しないといけないなんて耐えられない。
なーんて現実逃避なんですけどね。
カーテンを開け木漏れ日に目を細めながら遠くを見つめる。まぁ木と壁しかございませんけど。
自己紹介と魔力値測定が本日の授業日程とか気が重いにも程がある。
仮病を使って休んで後日測ってもらおうか。
「準備しないと朝食食いっぱぐれるよ」
遠くを見つめる僕に意外としっかり者のスタンツが準備万端の格好で声をかける。
朝は制服を来てからでないと食堂には入れないらしい。
置いて行ってほしいくらいだがお互い友達は自分たちしかいない状況だ。
新しくできたばかりの友達をこんなことではなくしなくないのでささっと準備する。
シャツに袖を通しズボンを履いてベルトを締めキュッとネクタイを締めたら準備完了だ。
初等部の春服は少年らしく半袖半ズボンである。