4. まさかのヒューイットに感謝です!!
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おかげさまでスタンツと同室になった。
この件に関しては素直にヒューイットに感謝だ。
男子寮は初等部は1階、中等部は2階、高等部は3階、1年生は中央階段を挟んで左から地組2部屋、水組2部屋、階段を挟んで火組1部屋ずつ、風組2部屋、光組2部屋ととてもわかりやすい配置になっている。
1年生の左右に2年生3年生の部屋が配置されているらしいが部屋割には特に意味はないらしく来年は左が3年生真ん中が2年生右が1年生になる。
食堂や談話室、図書室なんかは4階だ。各階に小さめの浴場4階には大浴場があるらしい。
正面左側にヒューイットたちは入ったらしいので僕らは右側風組と隣室らしい。ヒューイットたちともエントランスを挟んでいるとは何とも素晴らしい配置だろう。
「はー、しっかし助かったな。部屋も結構広いしヒューイットとも別部屋になれたしな」
僕らは家から寮に送られてきた荷物を持って部屋に上がった。
スタンツが言う通り左右に1つずつベッドにタンス、机、クローゼットと左右対称に配置され学生寮としては中々の広さだと思う。
…ちょっとだけ二段ベッドとか憧れたけど。
「まぁここ元はお貴族様専用だったしそこまで狭くもないよなー。伝統ある男子寮だしな」
元貴族専用ということは昔からある建物は広くて頑丈なのである。
「君貴族のことどう思ってるの?」
恐らく平民であろうスタンツは時折貴族のことを口にするので聞いてみた。
「どうも思ってないよ。それこそこの学園でなら仲良くなりたいと思ってる。ヒューイットだってそのうち仲良くなれるとオレは思ってるぜ」
右側のベッドに座りながらニシシッという効果音が聞こえてきそうな笑顔で言った。
「そっか。まぁ身分なんて自分で明かさない限りこの学園ではわからないしそもそも嘘をついてもバレないしね」
そう、そうなのだ。嘘をついたところでバレないのである。例えばあのヒューイットが演技派子役だったなら僕は完璧に騙されているということになる。
「まぁでもオレたちは勉強しに来てるんだ。せっかく掴んだチャンスなんだぜ。オレは将来魔法士になるためにも頑張るぞ」
9歳でしっかりしているものだ。僕は元居た世界でも中学二年生という進路への岐路に立たされてはいたものの漠然と入れる高校へ適当に進学するものだと思っていた。
せっかく生まれ変わったのだしこの世界ではちょっと頑張ってみますか。
可愛い妹がいじめられないようにもね。
「あー、明日の魔力測定楽しみ!!」
僕の決心早くも鈍りそう。