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2-15. 信用できません!!

 

 □□□□□□□□


 もう帰りたい。ここで倒れたりしたら帰してくれないだろうか。

 まぁ倒れただけで実験が来週に持ち越されるだけのことなのだろう。

 いや延期になるだけでも十分な気がしてきた。


「あの気付いたんですけど攻撃魔法で怪我するのイヤなんですけど。回復魔法があるっていうならともかくないですよね?」


 やめにしませんか?という言葉は飲み込む。


「回復魔法なんて素晴らしいものがあるならぜひ見たい。残念ながら回復魔法はいまのところないね。そっか。言われてみれば確かに危ないな。じゃあ威力を半減させて使うっていうのはどうだろう?うん。君の身の安全を考慮して怪我しない程度の魔法攻撃にしよう」


 一切信用できない宣言をする。


「ティアナさんの属性なんですか?」


「…………火」


 長い沈黙のあと仕方なくという感じで口を開いた。


「ノッカーさんは?」


「自分は水だ」


「じゃあノッカーさん、お相手お願いします」


 火は火傷する可能性があるけど水は最悪でも濡れるだけで済む。あとティアナさんとノッカーさんの2択なら同じ属性だとしてもノッカーさんを選ぶ。

 僕はいつもの通り飴を食べながら体力の回復をする。削られたのは精神力のような気もするが休憩をくれただけマシな対応だろう。


「そろそろいいだろうか?」


 できるだけゆっくり休んで時間を引き延ばしにかかっていたがもう限界らしい。


「はい、十分休憩できました」


「じゃああたしは部屋の隅で見てるよ。そうだよね。よく考えたらこの実験は参加しない方がきちんと観察できるよね。うん。これはむしろしっかり見れるんだからこっちの方がよかったって思わないとな」


 僕とノッカーさんが対峙した。


「先制は自分からでいいだろうか?」


「はい。というか僕のギフトは人相手に使うにはちょっと向いていないので防戦だけします」


 そう。怪我をさせてしまう恐れがあるので人相手に使うのにはあまり向いていない。浮かせる程度ならいいが攻撃方法として使うには少々直接的過ぎる。魔法のように相手に届くまで時間があるわけでもなく離れていてもタイムラグなしに発動してしまう。モンスターや盗賊など相手に使うならともかく実験程度で相手に怪我を負わせるわけにはいかない。


「じゃあいくぞ」


 ノッカーさんがそう言って手を前に出す。この世界では魔法は掌を向けている空間から出る。だから手の方向を見ていればどこを狙っているのか丸わかりだ。

 真っ直ぐに水の塊がこちらに向かってくる。お風呂の蛇口を思いっきり捻ったときくらいの水量か。

 手加減をしてくれているらしい。

 濡れたくはないのでサイコキネシスで水の向きを変える。隅にある排水溝に向かうようにする。


「もうちょっと本気を出してもいいだろうか?」


「はい。どうぞ」


 まぁ水魔法なら最悪でも濡れるだけだろう。


 僕って同じ失敗を何度繰り返すんだろうか。

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