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2-3. 僕のトラウマ作成器!!

 

 □□□□□□□□


 魔力値測定器。僕のトラウマ作成器である。

 それはボーリングの球くらいの大きさの球体で地球儀のような形をしていて周りにはメモリが書かれている。

 ティアナさんがとてもキラキラとした目で僕に触れと言う。いや、さすがに直接触れとは言われていないけど目がそう言っている。与えられたオモチャをどう使って遊ぼうかと。


 まぁこれは僕への罰の一環だと思おう。

 一つの家族を守ったのだ。安いものである。


 無言で触る。

 あの日と同じメモリは0から動かず球体は黒くなる。


「うわぁ。本当なんだ。すごいすごい。測定器って魔力値0になると黒くなるんだね。この目でこれを拝めただけでも君に来てもらった価値があるな。これはとても興味深い現象だよね。何も触っていない状態では白いのに君が触ると黒くなる。これは測定器がきちんと人が触っている、いま測定しているということを認識しているということだもの。だって見て」


 ハムスターをティアナさんが支えながら測定器に触れさせる。測定器は淡くほんのりと茶色づく。変わったのか変わっていないのか判断がつかないレベルではあったものの僕のときの変化とは一目瞭然である。メモリもほんの少しだけ動いていた。


「こんな小さな動物でも魔力を持っているんだよ。なのに君は持っていない。そしてこの測定器はきちんと持ってない人のことを想定している。これってすごくない?すごいよね」

 ふむ。ずっと気になっていたハムスターはやはり研究所という性質上ペットではないようだ。彼女はただひたすら喋り続けるので僕はハムスターを見て癒される。

 パッチリお目目に毛がふわふわとしていて可愛い。


「てことでいいかな?」


 聞いていなかったが僕には奉仕活動が義務付けられている。


「はい」


 そう返事をするしかなかった。


「じゃあ手を出して」


 何も考えず言われるがままに手を差し出す。差し出してしまった。

 彼女は僕の手に触れていきなりナイフで指先を切りつける。

 先程の握手とは違う意味でドキドキした。

 驚いて手を引っ込めティアナを見ていると


「どうしたの?血液採取したいから手を貸して」


 さぁ早くという感じでそう言われた。


 なるほど。血液の採取のために切られたのか。

 いや、この世界にも注射器ありますよね?

 納得しかけたけど騙されないぞ。


「血の色は赤色か...あ、あとで正式に病理科に協力してもらうから採取させてね。いや血の色気になっちゃって。そりゃ当然赤なんだろうけど。ほら、もしかしたら測定器みたいに黒の可能性もあったわけで」


 いやいや僕のこと何だと思っているんだ。

 血の色が黒だったならさすがにもっと早い段階で誰かに気づかれていただろう。子供なんだから小さいケガくらいするさ。

 血の色が黒だなんてモンスターでもそうそうないだろう。


 まさかの切られ損。これには拒否権を行使してもよかったのではないだろうか。

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