25. 僕はそれでも認めません!!
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振動が止まる。
目的地に着いたのか。
結局馬車が止まるまで僕以外の3人は起きなかった。
外の声が聞こえる。
「兄貴4人も連れてくる必要あったのか?」
「馬鹿、お前4人居たら4人分身代金が貰えるじゃねぇか」
なんて浅はかな。杜撰な計画だとは思ったけれど。そもそも僕らは普段学園で寮生活をしている。普段と違う行動をしたときに起きた誘拐だったので綿密な計画を練った誘拐ではなく突発的な誘拐だとは思ってたんだ。
何だか一気に気が抜けた。もしかしたら僕のせいで皆を巻き込んだかもしれないのかと懸念していたから。
目的がわからないから身動きがとれなかった。彼らにもし黒幕がいたのなら対処しなければ問題の解決にはならなかったので移動中には何も行動を起こせなかったのだ。
あとは誘拐犯が何人いるかが問題か。
幌が開き光が差す。
「おい、坊主ども。起きてっか?」
ここで起きてまーすなんて答えるわけもなく、誰一人微動だにしない。僕以外が寝ているのか寝たフリをしているのかはわからない。
誘拐犯たちが荷台に登ってくる。
「あっ、ガラン。お前ちょっと強く殴りすぎだろ。この1番ちっこいの血が出てるじゃねぇか」
僕の頭は痛いけどヒューイットと僕は比較してはっきりと1番小さいとは言えないはずだ。認めない。
「ごめんよ、兄貴。1人目だったから力加減間違えたんだよ」
ポルトが先頭で僕が最後尾で殴られた。仮に2人同時に殴られたとして1番ちっこいのに当てはまってしまうのは僕だろう。だが認めない。
「この坊主どもは身代金もらったあとに無事に家に帰さなきゃいけないんだぞ」
差し迫った命の危機はないらしい。
「ガラン。家から包帯と薬持ってこい。母ちゃん寝てるから起こすんじゃねぇぞ」
「行ってくるよ、兄貴」