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5-40. 僥倖!!

 

 □□□□□□□□


「どうぞこちらへ」


 シャルノット家の執事に案内されるがままいつものように書斎へと通される。そこには既にアーデおじさまがいた。いつも通り人の良さそうな穏やかな笑みを浮かべて。


「やぁ2人ともよく来てくれたね。グリーム、もう大丈夫なのかい?大怪我をしたって聞いていたけど」


 ¨グリームが無事でよかった。彼はアズニエル家の長男であるとともに次世代で唯一の五大家直系男子だから死なれては困る¨


 執事がお茶を置いて退室していった。書斎には僕ら3人しか居ない。おじさまは机に僕らはソファに座る。いつもの定位置だ。出されたお茶を1口、口に含み口内を(うるお)す。


「ご心配をお掛けしましたがこの通り僕は元気です。おじさまにおかれましてもご壮健そうで何よりです」


「ごきげんよう、アーデおじさま。婚約をご了承頂き誠にありがとうございます」


「あぁ、そういえばそうだったね。おめでとう」


 ¨2人の婚約がこんな形で成るとは思わなかったけどこれで私の肩の荷がようやく下りる。グリームが怪我したことは僥倖(ぎょうこう)だった。ランは婚約に関して強硬だったがグリームが怪我をしたおかげでそれが崩れた。大怪我と聞いていたが今これだけ元気ならそこまで大したこともなかったようだし暴徒に少しだけ感謝しよう¨


 僕はこのおじさまの思考を見逃さない。


「ところでおじさま。僕を刺した暴徒たちはどうなりますか?」


「勿論処刑するよ。次期国王を刺したんだもの当然だよね?さすがに暴徒全員処刑するわけにはいかないけど首謀者も処刑かな。残りも厳罰を考えないと」


 やはり処刑されるらしい。感謝しているんだから刑に処さなくてもいいじゃないか。とはいえ何がしかの罰がなきゃいけないということもわかる。


 ¨私が守ってきた王家の威信を失墜させようとしたのだ。当然の(むく)いだよね。次代に引き継ぐまで守り続けてみせる¨


 そう、代々受け継がれてきた王家の威信。おじさまが憂慮しているのはそれなのだ。自分の代で責任を追及されるのを恐れている。故に変われない。誘拐も職業難も何の対策も取れない。賢王と呼ばれたいわけではない。愚王と呼ばれなければよい。事なかれ主義。現状愚王と呼ばれても仕方ないと正直思うが何故か今まで何も起きていなかった。


 だったら。



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