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5-39. 引鉄!!

 

 □□□□□□□□


 いつもと同じように僕らの面会申請は即座に許可が下りた。ティアナさんやルチカにはせっかちだと揶揄(やゆ)されメアリには体の心配をされた。多少の無茶はしてでも動かなきゃいけない時がある。それにドラゴンから受け継いだ回復能力によりほぼ全快だった。今は体より精神的な負担の方が大きい。

 病院を出るとスタンツと妹たちが(たわむ)れていた。兄として3人の仲の良さは気にはなるものの今はそれどころではない。スタンツが義弟になるかもしれないのは別に反対はしないが1人しか居ないのにどうするつもりなのかとは思う。まさか共有するわけにもいくまい。スタンツに手を振り無事なことをアピールし横をそのまま通り抜け馬車へと乗り込み王の居城へ向かってもらう。


「おじさまに会って一体どうするおつもりですの?」


「カルミンや暴徒の助命嘆願を。無処分での解放が厳しいのなら少しでも減刑を」


「それは難しい提案だと思いますわ」


「わかってる。でもこれは僕が引鉄(ひきがね)になって起きた事件だと思うから。僕が責任を取らなきゃいけないんだ」


 ¨グリムの気持ちはわかるけどそんな簡単な話じゃないはずですわ¨


「…そうですか。おじさまが理解してくださるとよいですわね」


 内心と口から出た言葉に矛盾はないものの違いが出る。本来知るべきことじゃないから読まないようにしていたが事の解決が済むまでセーブするのをやめた。この能力を最初から使っていればそもそも暴徒と遭遇することさえなかったはずだ。あの時使っていれば大量の思考が流れ込んできて異変に気づいたはずだから。自身の能力を使わないことにより後手に回るのはもうやめる。持てる能力を有効活用すると決めたのだ。


「僕が何をしようと君は自分の思う通りに行動していいからね」


「私は常に自分の考えで行動していますわ。何をするにしても私の行動の責任は私にあります」


 そう昔からしっかりしていたよね。まるで転生者かと思える程に。今なら簡単に確かめられる。質問をして心を読むだけだ。だけど彼女がどちらでも何も変わらない。なら知る必要もないのだ。


 そんな風に思考していると馬車が止まって扉が開く。親戚のおじさんに会いに行くだけなのにとても緊張する。

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