5-37. 身に覚えありません!!
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病室に2人きりになりランの頬に触れる。涙の跡が残ってしまっていた。擦ると痛いだろうし柔肌を傷つけたくないので思案していると何だかいい雰囲気になってしまった。
そういう意図は全くなかったのだがそうですよね、年頃のしかも婚約している男女が密室に2人きりになったらいい雰囲気になってもしょうがない。頬を触ったそのままの流れで髪を梳く。そのまま頭に手をやって顔を近づける。内心心臓ばくばくだが何とも思っていないような感じで振る舞う。ランも目を閉じてくれた。アップに耐えられる美形だった。
「にゃー。お邪魔だったかにゃ」
唇が重なる前に声が聞こえた。慌てて離れるものの妹たちが勢いよく出ていったままにベッドを囲うカーテンは開けられており時既に遅し。というか見えたからこその言葉だろう。
「…無事でよかったの」
ルチカの第一声からしばらくしてメアリが口を開いた。僕はというと特に弁解はしなかったもののそれ以外の言葉も出てこなかった。同級生にそういうシーンを見られたのは気まずいが疚しいことはしていない。うん、していない。例えメアリが僕に好意を持っていたとしてもここで疚しいと思ってしまうことの方がランに失礼だ。頭をぽんぽんと触るだけで読心能力が発動してしまうのでメアリの気持ちは知っていた。というかそんな能力がなくとも何となくは察していた。それが読心能力により確信になっただけだ。
「いやぁ、グリーム君無事でよかったね。君の再生能力は中々に興味深かったよ。いつぞや言っていた大怪我をして手術するときは君の内部を見せてもらうという約束は流石に果たさなかったよ。不謹慎だしね。それに君が再従姉妹姪であるランちゃんの婚約者になったというのであれば尊重しなきゃね」
身に覚えのない約束だが彼女がそう言っていたのは覚えている。お手上げのポーズを取るティアナさん。身分1つで変わってしまうことに悲しいと思ったが彼女は別に僕が王族だから変わったわけではないと伝わってくる。
¨ランちゃんはともかくフレデリカさんはうるさいからなぁ。魔力値0の秘密を知るいい機会だったけど結果が出ないかもしれないのにハイリスク過ぎる。それこそ仕事クビにされるかもだし。もうちょい元気な手術の時に見せて貰おうか。見ても影響がなさそうな時に¨
彼女の思考によると身分というよりはただフレデリカおばさまが怖いだけのようだ。この人心の中でも長いな。




