5-34. 目覚め!!
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バチッと目が覚める。
あれ、何か夢を見ていた気がするんだけど何だったかな。
というか僕何してたっけ。
僕の手を握るランと目が合う。ランってば泣き虫だなぁ。また瞳に雫を溜めている。
「おはよう」
「おはようじゃありませんわ。私がどれだけ心配したと思っていますの」
それは僕も同じだ。ランが無事ということは他の皆も無事だろうか。
「「お兄さま、心配したのー」」
ベッドに寝ている腰の辺りに両サイドから抱きつかれる。幸せだな、と思いつつ胸に鈍い痛みが走る。
「ぐふっ」
変な声が出る。決して可愛い妹たちに抱きつかれて嬉しいからではない。刺された時には感じなかった痛みが今は感じる。
「グリム今回は本当に死んでもおかしくなかったんですわ。どうしてあなたはいつもいつも私に心配させますの」
そう言いながらまた泣きだす。今回僕も頑張ったんだけどな。それにこうしてランが無事で皆も無事だというのならランには悪いけど僕の判断は正しかったと思う。数百人規模の暴徒を誰も死ぬことなく切り抜けられたというのなら。
ランの瞳から流れる雫が止まらない。彼女の涙を見るとどうやって止めようかと思ってしまう。
僕は痛む胸を気に留めず体を起こす。ランに抱きついて頭をぽんぽんする。残念ながらというか今回ばかりは助かったのか彼女の頭は僕の肩に乗る。理想としては胸の辺りに来ることだが今は胸に頭が来ると痛いのでこれでよい。
「もう泣かないで。僕はこうして生きているし君が無事で嬉しいんだ。勝算はあったんだけどドラゴンスレイヤーとカルミンが出てきたのが予想外だったんだよね」
ちょっとおどけてそう言ってみる。そう、どちらか一方でも欠けていたら何とかなっただろう。僕が王族でドラゴンの能力を有しているということがバレていたせいで起こった出来事だった。そうでなければ見た目14歳というかもっと若く見える僕に手をかけることは躊躇われただろうしドラゴンスレイヤーがなければそもそもこんなにも傷を負っていない。
「そういえば皆は?ここにはいないけど無事なの?それに暴徒はどうなったの?」
「皆は無事ですわ。ちょっとここには身内じゃないので入れなかったのですわ」
身内?ランも親戚だからということだろうか。
「「お姉さまはお兄さまの婚約者なの」」