5-26. 公開!!
□□□□□□□□
水に蹂躙されること数10秒。解放される頃には皆が駆け寄って来てくれていた。助けてよと思ったもののなまじ無効化があるせいで助ける方法が水に飛び込む以外ない。水がそのうち捌けるのはわかりきっているし何もせず見守るのが正解だったんだろう。腑に落ちないけどそういうものだと思おう。
「グリム、君なんでサイコキネシス使わないの?」
ハーティットに言われるまで無効化の不可抗力と共に失念していた。常々思っていたがこんなにも与えられているのに僕にはそれを使いこなす経験が足りないようだ。僕が苦しく感じた数10秒は感じなくてもよい数10秒だったというわけだ。
「...忘れてた」
「びしょ濡れだね。乾かすからちょっと上に行こうか」
「ここじゃダメなの?」
「君レディの前で服脱ぐの?乾かすにしても無効化があるから服脱がないと乾かないよ」
その言葉にまだ脱いでも居ないのにメアリは手で顔を覆っていた。露出の趣味はないのでいきなり脱いだりしないから大丈夫。
「いいね、それ。ぜひここでやってよ。前に見たいって言った時はノッカーさんにしか見せてくれなかったし今回は公開してもいいんじゃないかな」
公開するようなことじゃないだろう。僕の裸にそんなに価値がないのはわかっているがこうも見たがられると何か価値があるんじゃないかと思ってしまう。メアリの恥じらいを少しは見習ってほしい。どうしてこうも欲望に忠実なんだろうか。
「ティアナ、それは諦めよう」
「ティアナお姉様...」
ノッカーさんは諭してランは驚いている。初めて会う再従姉妹叔母が変人であることに。ティアナさんを擁護する義理はないのだけどその興味は学術的探究心からきているだけなのだからそこまで嘆くことはない。言葉にすると14歳男子の裸を見たがる27歳女性というわりとアウトな響きになるがティアナさんがそういう意味での興味がないのはわかっている。というか僕の方がそういう意味での興味が誘惑に負けてしまうほどにはある。
スタンツにはしょっちゅう見られているので別にいいが他の人に見られるのには抵抗がある。
「上に行こうか」
ハーティットの最初の提案通り上に行くのがベストだった。