5-13. デートなら振られフラグだよね!!
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「すみません、待たせて」
「いや、こちらも今来たところだ」
デートの待ち合わせかな。万一デートの待ち合わせなら連絡もなしに友達を連れてくるとか振られるだろう。やり取りの相手はノッカーさんなんだけどね。まぁこの世界には連絡手段が手紙くらいしかないのだから仕方ない。手紙を書いて返事を待ってる間に待ち合わせ時間が過ぎてしまうのだから連れてきて聞くしかない。一応思考伝達能力はドラゴンスレイヤーになった時に入手したものの使う機会はない。これ以上人と違うことを主張したくなかったし知られない方がいい。
「僕の友達も一緒に行ってもいいですか?魔法の許容量を調べるなら2人でももしかしたら足りないかもしれないと思い連れてきちゃったんですけど」
「確かにグリーム君の無効化能力は未知数だからな。上級魔法士が2人居ても足りないかもしれない」
ん?ティアナさんに騙されたのかな?あの人魔力値2人とも高くないって言ってたんだけど。
「自分は同行には賛成だ。そういう理由ならティアナからも許可が下りるだろう」
本当ならティアナさんやノッカーさんの知り合いを連れてきた方がいいだろうけどそんな時間も惜しいのだろう。
「馬車派手ですね」
馬車は実用的な幌馬車で来るかと思いきや豪奢な馬車だった。特にどちらで来ようと文句はないが研究畑の2人がこの馬車を選んだことに少しだけ違和感を覚えた。それは貴族の為に存在しているであろう馬車。見目麗しくあまり実用的ではないのに値段は高い馬車。速度は出ないものの長時間移動するなら快適だろう。職業実践で長時間移動を幌馬車で移動すると体が痛くなるということを学んだ。
「王城内部で借りたから仕方がないんだ。それにティアナはああ見えて貴族でね。彼女の伝手で借りたからこうなったんだ」
確かに王城の中にはシンプルな馬車はあまりなさそうだ。というかそんなことよりティアナさんが貴族なことに驚きだ。言われてみればあの自由な性格はもしかしたら貴族であるが故に挫折を知らないせいなのかもしれない。いやただの性格だろう。あの人は例え平民でもきっとあの探究心を失いはしない。想像だけどそんな気がする。
「自分が御者をやるから2人とも馬車に乗ってくれ」
「わかりました」
そう言って乗り込んだ馬車には既にティアナさんが座っていた。