5-11. 実験出来ない!!
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「土魔法はこの部屋では使えないし光魔法は反射で眩しいのか区別つかないよね。風魔法はわかりづらいし水魔法は水の処理が出来ないな。うーん、お手上げだね。でもここで音を上げたりしないよ。トレーニングルームで実験出来ないなら出来るところに移動すればいいんだよ。うん、移動しよっか」
喋っている間に考えが纏まったのか移動しようと提案される。
「移動ってどこにですか?」
「王都の門の外にだよ。門外なら魔法を使っても方向さえ間違えなければ衛兵が飛んで来ることもないしここみたいに色々制限されることもないからいいと思うんだよね」
確かに屋外なら酸欠になることもないし排水に困ることもないし土の処理に困ることもない。僕の無効化容量を知るという目的は達成出来るだろう。
「今からですか?」
「勿論今からだよ。知りたいことを後回しにするわけないよね。時間はまだあるしいいでしょ?」
僕の奉仕活動は基本的に日が傾く頃まで。今の時期だと時間はたっぷりとある。有無を言わさないその聞き方に思わず否定したくなるもののその後の対応が更に面倒なことになりそうだと思い留まる。
「わかりました。でも1回着替えに戻ってもいいですか?」
奉仕活動中何となく学園の制服で出向くようにしている。王城を歩くのに普段着で子供が歩いていると目立つからだ。正装に近い格好なら貴族の子供が歩いているが実験をすることを考えると実用的ではない。そう思い結局学園の制服に落ち着いた。だけど外に行くなら着替えて行きたい。学園の制服もまた外では目立つのだ。
「その格好でも別にいいんじゃない?」
「着替えたいなら戻ってもいいんじゃないか。その間にこちらは馬車の手配をしておこう」
着替える時間すら惜しまれてティアナさんに否定される。ノッカーさんはこちらの気持ちを汲んでくれた。
「はい、じゃあ1回寮に戻って着替えてきますね。待ち合わせは学園の王都側の門でいいですか?」
学園に戻ってしまうとまたここに来るには通行許可証をもう一度発行してもらわなければいけない。その手間を考えたら王城側で待ち合わせするよりもいいはずだ。
「ああ、そうしよう。時間的には今から30分後でどうだろうか」
「わかりました。では30分後に学園王都側の門の前で待ち合わせにしましょう」